煎茶道具「水注(すいちゅう)」
煎茶道具「水注」(すいちゅう)とは
煎茶道具「水注(すいちゅう)」とは、茶道や煎茶道のお手前において、煮沸して冷ました水をいれ、茶碗や急須に水を注いだり、水を継ぎ足す際に使う器物です。
煎茶道や茶道の流派によって名称が異なり、別名として、水瓶(すいへい)、水鷗(すいおう)、「水指」(みずさし)、「水次」(みずつぎ)、「水滴」(すいてき)、「注子」(さし)、「仙盞瓶」(せんさんぴん)、水方(すいほう)、水曹(すいそう)、水罐(すいかん)などと呼ばれます。
煎茶道具「水注」の形や材質について
煎茶道具「水注」の素材は、おもに陶磁器(とうじき)ですが、茶道でよく使われる片口(かたくち)の水次では木地曲・塗物(ぬりもの)も多くあるようです
むかし水道がなかった時代は、大口の水瓶に水を貯め、そこから各自が水注に水をいれてから使用しており、その際によく使われていたそうです。
中国茶道(ちゅうごくちゃどう)や韓国茶芸(かんこくさげい)で用いられる「執壺」(しっこ:水差しやピッチャーのこと)も同じものです。
また同じ日本の伝統芸道である書道では、硯(すずり)に水を足すために、この水注をつかうことがあるようです。
煎茶道では、流派によって異なりはしますが、水を注ぐ器物を2つ用意します。
この水注と洗瓶(せんびん)ですが、水注はお客様にお出しするお茶を淹れる際に使用し、洗瓶(せんびん)は煎茶道具を洗う際に使用します。
煎茶道具「水注」の画像はこちら
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こちらは水注の1種である「緑釉金襴手の仙盞瓶(りょくゆうきんらんでのせんさんびん)」です。
仙盞瓶(せんさんびん)とは水注のことで、青盞瓶(せんさんへい)とも言います。
金襴手(きんらんで)とは、赤絵,色絵などに金彩を加えたデザインのことで、色釉と金との配色が織物の金襴の趣に似ているところから、この名称となったようです。
金襴手の技術は、中国宋代(960年 – 1279年)にはじまり、明・清代に発達、その後日本には江戸時代中期から作られはじめたとのことです。
緑釉(りょくゆう)とは、陶磁器の釉薬の一種です。鉛釉(えんゆう)の一種で発色剤の銅の酸化により、鮮やかな緑色がでることが特徴です。日本では平安時代より釉薬の1つとして使われていたようです。
煎茶道具「黄交趾焼の水注」
交趾焼(こうちやき)とは…中国南部とベトナム北部で生産されていた陶磁器の一種です。その独特の名称は、中国が、ベトナム交趾志那(コーチシナ)との貿易で、交趾船(こうちせん)によりもたらされたことに由来します。現在のベトナム国北部で生産されていた、低火度で焼かれる鉛釉陶磁器(てつゆうとうじき)で、黄、浅黄(あさぎ)、緑などの鮮やかな色彩が特徴です。
煎茶道具「水注」(すいちゅう)の動画
煎茶道具「水注」に関する動画です。
画像だけではどんなものか分からないと思うので、雰囲気だけでも感じてください。
煎茶道具「仙盞瓶」(せんさんぴん)
仙盞瓶(せんさんぴん)とは、煎茶道具の1つで、お茶席では水注とも説明されることもあります。
中国製オリエント風の水注で、蓋・注嘴・把手を具えた精巧華麗な注器。 青磁・青花・赤絵のものがあります。
煎茶道具にご興味を持たれた方へ
煎茶道具「水注」についてまとめさせていただきました。
ほかの煎茶道具や茶道具に興味を持たれた方に向けて、まとめページを作成しました。
陶磁器や焼き物、器にご興味のある方もぜひご覧ください。
参考:「煎茶全書」主婦の友社 昭和49年 ※流派や先生によって解説が異なる可能性があります。
投稿者プロフィール
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宮城県出身。
仙台の大学卒業後、500年の歴史を誇る老舗和菓子屋に入社。京都にて文人趣味や煎茶道、生け花、民俗画を学び、日本文化への造詣を深める。和菓子屋での経験を活かし、その後、日本文化専門のマーケティング会社でブランディングとPRマーケティングに従事。現在はフリーランスの茶人として活動しながら、日本文化のPRサポートや「みんなの日本茶サロン」を主宰。伝統と現代を結びつける活動を通じて、日本文化の魅力を広めている。みんなの日本茶サロン編集長。
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