徳島県の大谷焼とは?特徴や歴史、良さや魅力を解説

徳島県の大谷焼について、特徴や歴史、良さや魅力を解説します

みなさんは徳島県の伝統工芸品である焼き物「大谷焼」をご存知でしょうか。

四国では愛媛県の焼き物「砥部焼」や高知県の「尾戸焼」が有名ですが、徳島県の民芸品「大谷焼」も人気を博しています。

こちらの記事では、大谷焼について、特徴や歴史、良さや美しさ、大谷焼の窯元を解説してきます。

下記のような方におすすめの記事です。

  • 器や焼き物に興味がある
  • 徳島県に住まれている方
  • 民芸品に興味がある方
  • 徳島県に旅行を考えている方

大谷焼とは

陶器の壷

大谷焼とは、徳島県鳴門市を中心に生産される陶器です。江戸時代から始まったと言われており、その歴史は230年以上あると言われています。

大谷焼は、藍染め液の容器として昔から使われていました。徳島県は阿波藍(あわあい)の製造が盛んで、藍染めの液体を大量に保存する容器が必要でした。そこで大量の藍染め液が入る頑丈で大きな容器である大谷焼が生まれました。

陶磁器についてさらに詳細に知りたい方は下記の記事をご覧ください。

参考:大谷焼 | 公益社団法人徳島県物産協会 公式ホームページ あるでよ徳島  

大谷焼の特徴・良さ

徳島県大谷焼の寝ロクロで作った甕
徳島県大谷焼の寝ロクロで作った甕

大谷焼の特徴は、陶器ならではの見た目と製法にあります。

大谷焼は、ざらしとした質感と、かすかに見える光沢感といった陶器ならではの見た目が特徴の一つです。大谷焼は陶器で、その陶土は同じ鳴門市の大麻地区で採取します。その土は鉄分が多く、焼き上げたときに鉄分が若干溶けて器全体に行き渡り、光沢感がでることが良さであり魅力です。

また大谷焼は頑丈さが特徴です。江戸時代に大量の藍染めの液体を貯蔵する必要があり、鳴門市大麻町で大きな水甕(みずがめ)が生産されるようになりました。それが大谷焼の原型だと言われており、その製法は「寝ロクロ」と呼ばれました。焼き物を作る際は手で轆轤をひいて成形しますが、大谷焼の水甕は人の背丈以上の大きさがあったため、職人が寝ながら足で轆轤をまわしていたようです。

大谷焼の歴史

陶器のコップと皿

大谷焼の歴史は、江戸時代後期から、徳島県鳴門市ではじまりました。1780年代に、四国八十八カ所霊場の巡礼をする”お遍路”に来た豊後の国、今でいう大分県の焼き物職人の文右衛門が、鳴門市の大谷村を訪れました。そこで轆轤の技術を伝授し、大谷村で採れる萩原粘土の赤土で焼き上げたことが始まりといわれています。

江戸時代の徳島県では、焼き物は極めて珍しく、その妙技に興味を持った時の12代藩主・蜂須賀治昭公は、これとは別に南京・唐津と呼ばれた磁器を焼くよう命じ、九州より職人を多く雇い入れて1781年、大谷村に藩営の焼窯が築かれ、阿波で始めて染付磁器が焼かれることになりました。

大谷焼の活用方法

大谷焼は、その美しい釉薬とデザインから、日常生活で様々な用途に活用できます。以下は、主な活用方法です。

1.1. 食器としての活用

大谷焼の食器は、茶碗湯飲みなど、様々な種類があります。その優れた耐熱性耐久性から、日常の食事はもちろん、特別な日の料理にも適しています。また、美しい釉薬の色合いが、料理を一層引き立てます。

1.2. インテリアとしての活用

大谷焼は、その独自のデザインから、インテリアとしても人気です。花瓶置物キャンドルホルダーなど、多彩なアイテムがあり、リビング書斎玄関などに飾ることで、空間に温かみと風格を加えることができます。

1.3. 贈り物や記念品

大谷焼の手作り感伝統の価値は、贈り物記念品としても最適です。結婚祝い出産祝い長寿のお祝いなど、特別な場面でのプレゼントに選ばれることが多いです。オリジナルのデザインメッセージを入れることで、より一層心のこもった贈り物になります。

大谷焼の作り方

大谷焼の製作には、伝統的な技法精密な作業が必要です。以下に、その基本的な作り方を紹介します。

2.1. 原料の準備

大谷焼の原料は、陶土が主成分です。土の選定から始まり、適切な水分量に調整します。この土を成形するために、練り合わせて均一にします。

2.2. 成形

土が準備できたら、成形作業に入ります。ろくろ手びねりで、器や花瓶などの形に作り上げます。精密なデザインが必要な場合は、型押し手彫りなどの技法が使われます。

2.3. 乾燥と素焼き

成形が終わったら、乾燥させる工程に移ります。完全に乾燥させることで、ヒビ変形を防ぎます。その後、素焼きを行い、土の強度を高めるために低温で焼成します。

2.4. 釉薬の施釉

素焼きが終わったら、釉薬(うわぐすり)を施します。釉薬の選定や塗り方が、完成品の色合い光沢を決定します。釉薬を施した後、本焼きで高温に焼成し、釉薬がしっかりと定着します。

2.5. 仕上げと検査

本焼きが終わったら、冷却し、仕上げ作業を行います。表面の磨きデザインの確認を行い、最終的な品質検査を経て、完成品として出荷されます。

大谷焼の窯元をご紹介

大谷焼の窯元はいまも鳴門市に残っており、制作活動を続けながら直営のギャラリーショップを運営しています。

代表的な大谷焼の窯元をご紹介します。

大谷焼窯元「佳実窯」

大谷焼窯元「佳実窯」は、鳴門市大麻町大谷にある伝統的な大谷焼の窯元です。佳美窯では焼〆陶、窯変、灰釉などによる食器、オブジェ、華道の花器や茶道の茶碗、和菓子の菓子鉢等を制作しています。手びねりをはじめ、ろくろ体験や絵付け体験もしていただくことができます。

大谷焼窯元『佳実窯』の詳細情報

大谷焼窯元『佳実窯』の所在地や営業時間をご紹介します。

  • 所在地: 〒779-0302 徳島県鳴門市大麻町大谷東山谷45
  • 営業時間:9時~18時
  • 電話: 088-689-0172
  • アクセス:鳴門ICから車で10分、最寄り駅は阿波大谷駅

大谷焼の良さや魅力が分かる口コミやレビュー

大谷焼は陶器なので、ゴツゴツした見た目になりやすいのですが、それが大谷焼の良さであり、口コミ評価もかなり良いです。

わたしは大谷焼の湯のみを買って、煎茶や玉露など日本茶をよく飲んでいます。

自然の焼き色でデザインされるため、同一の作品が生まれない”自然由来の美”です。

焼き締めした花器にお花を生けると枯れにくいとも聞いたことがあり、華道の道具にも向いているようです。

大谷焼の人気はSNSでも高いようで、いくつかピックアップしてご紹介します。

https://twitter.com/TeimurazLezhava/status/1768779353020932306

徳島県でおすすめの焼き物ショップ

大谷焼の特徴や歴史はいかがでしたでしょうか。

さらに日本全国の焼き物に興味を持たれた方におすすめの記事をご紹介します。日本の焼き物の種類や産地を一覧にしてまとめてみました。ぜひ一度ご覧ください。

投稿者プロフィール

東叡庵
東叡庵煎茶講師/日本文化PRマーケター
宮城県出身。
仙台の大学卒業後、500年の歴史を誇る老舗和菓子屋に入社。京都にて文人趣味や煎茶道、生け花、民俗画を学び、日本文化への造詣を深める。和菓子屋での経験を活かし、その後、日本文化専門のマーケティング会社でブランディングとPRマーケティングに従事。現在はフリーランスの茶人として活動しながら、日本文化のPRサポートや「みんなの日本茶サロン」を主宰。伝統と現代を結びつける活動を通じて、日本文化の魅力を広めている。みんなの日本茶サロン編集長。