滋賀県の信楽焼とは?伝統工芸品たぬきの置物の意味や聖武天皇からの歴史を解説

滋賀県の伝統工芸品でもある信楽焼が、NHKドラマ「スカーレット」で有名になりました。

本記事では信楽焼の種類や特徴、たぬきの置物の意味や歴史の解説なども含めて紹介していきます。

以下のような方におすすめしたい記事です。

  • 焼き物・陶器好きの方
  • 器や食器が好きな方
  • 信楽観光を考えている方

滋賀県の信楽焼とは

信楽焼(しがらきやき)とは、奈良時代から続く伝統的な焼き物で、滋賀県甲賀市信楽町を中心に生産される陶器です。

日本六古窯の1つで、1976年に国の伝統工芸品にも指定された日本を代表する焼き物です。

信楽焼の特徴は?

信楽焼の特徴は、焼くと土の中の鉄分が赤褐色のように染まる火色や、荒々しい見た目です。古代の琵琶湖の底面から採土した鉄分豊富な陶土には木節粘土(きぶしねんど)が混ざっており、粘り気の強い粘土となります。このため、火鉢や水瓶といった大きな焼き物が多く作られていました。焼成時に鉄分が炎に反応して赤褐色になり、信楽の緋色が有名になりました。また、信楽焼といえばたぬきの置物が有名です。

信楽焼たぬきとは?

信楽焼のたぬき
信楽焼のたぬき

信楽焼のたぬきとは、滋賀県甲賀氏信楽町の中心に作られる陶磁器で、可愛らしい動物の狸をイメージして生産される焼き物です。今の形になったのは明治時代と言われており、滋賀県の歴史ある工芸品です。

この信楽焼タヌキが全国に広まったのは1950年代で、ここ信楽から輸出されていったのです。

たぬきの置物の意味

この信楽焼のたぬきの置物、実は意味があって縁起の良い置物なんです。たぬきの置物が持つ通い帳・帳簿の縁起は、商売繁盛を意味しています。

近江商人(おうみしょうにん)の発祥の地である滋賀らしいですね。

しかしなぜこのたぬきの置物が滋賀県の、しかも山奥の信楽で生産されるのか、ご存知でしょうか?

「信楽焼たぬき」はなぜ信楽?

滋賀県の信楽陶芸村
信楽焼たぬきが沿道に並ぶイメージ

信楽焼たぬきが有名になったきっかけは、1951年に昭和天皇が信楽を訪れたことにあります。

昭和天皇が幼少時から信楽焼たぬきを好んでいたというエピソードを聞いた信楽焼職人たちが、沿道に信楽焼たぬきを並べました。これに感動された昭和天皇は一句詠まれました。

「をさなきときに あつめしからに なつかしも しからきやきの たぬきをみれば(幼い頃、狸の置物を集めていたが、今この信楽焼の狸の隊列を見て懐かしさが込み上げてきた、という意味)」

このエピソードをきっかけに、信楽焼たぬきが全国的にブームとなりました。

信楽焼の由来・歴史とは

信楽焼の由来には諸説あります。紫香楽宮(しがらきのみや)に由来する説や、木材が豊富で茂る木(しげるき)に由来する説があります。西暦740年に、信楽は聖武天皇により紫香楽宮として都に指定され、お寺や神社が作られました。その際に瓦を焼いたことが信楽焼の始まりとされています。

信楽焼の口コミやレビュー

信楽焼のレビュー
信楽焼のレビュー

信楽焼発祥の地である信楽町で現地レポート

信楽焼の現地レポート
信楽焼の郷で現地レポート

令和1年9月、滋賀県の信楽焼の郷を訪問しました。

信楽町には、そこかしこにたぬきの置物があり、旅人を出迎えてくれます。

信楽焼たぬきの置物が見たいなら「信楽陶芸村」がおすすめ

信楽陶芸村の駐車場案内図
信楽陶芸村の駐車場案内図

信楽町で信楽焼たぬきの置物を見たいなら「信楽陶芸村」がおすすめです。

信楽陶芸村は、信楽焼の窯元が運営するカフェと信楽焼の販売、陶芸体験ができる施設です。

数十台も置ける無料駐車場もあり、車でお越しになる方にもおススメのショップです。

信楽陶芸村の中に入ると、信楽焼たぬきがお出迎え

信楽陶芸村の信楽焼たぬき
信楽陶芸村の信楽焼たぬき

信楽陶芸村に入ると、信楽焼の特徴がでた沢山のたぬきが出迎えてくれます。

まさにウェルカム信楽焼たぬき!

というかこれはもう、多すぎです。(笑)

信楽陶芸村でおすすめの「登り窯カフェ」

信楽陶芸村の登り窯カフェ
信楽陶芸村の登り窯カフェ

信楽陶芸村の中には、かつての登り窯を利用したカフェがあります。

6月のアジサイの時期に行ったのですが、とてもきれいなお花が咲いていました。

そしてカフェの名称は「のぼり窯カフェ」です。

可愛いたぬきウェイターが案内してくれます。

信楽陶芸村ののぼり窯カフェ
信楽陶芸村ののぼり窯カフェ

中はなんとオシャレな空間でしょう。

焼き物好きにはたまらない、信楽焼のイスに、信楽焼の登り窯。

焼き物に包まれる極上の空間です。

信楽陶芸村の登り窯の内部
信楽陶芸村の登り窯の内部

かつてはここで、たくさんの信楽焼の火鉢や器、日用品が焼かれていました。

かつての信楽焼の歴史を感じながら、温かい珈琲を飲むのも、素敵な時間ですよね。

信楽焼陶芸村「登り窯カフェ」の詳細情報
  • 住所:〒529-1851 滋賀県甲賀市信楽町長野1131
  • 営業時間:10時~16時
  • 問い合わせ:0748-82-0522
  • 定休日:年末年始のみ休み
  • 駐車場:無料あり

信楽焼たぬきをもっと知れる窯元カフェ「ogama」

信楽焼カフェ&ギャラリー「OGAMA」
信楽焼カフェ&ギャラリー「OGAMA」

続いて信楽町で訪問したのは、信楽焼カフェ&ギャラリー「OGAMA(おおがま)」です。

信楽焼カフェ&ギャラリー「OGAMA(おおがま)」は、最近までつかわれていた信楽焼の登り窯を、信楽焼の販売店とカフェにリフォームしたオシャレなお店です。

信楽焼カフェ&ギャラリー「OGAMA(おおがま)」の登り窯とは

登り窯とは、簡単に言うと、陶器を大量生産する窯のことです。

窯の下のほうで薪(まき)を焚き、1000度以上まで温度をあげます。

炎や熱が上にいく性質を利用し、階段状に窯をつくり、各階で焼きます。

登り窯のメリットは大量生産(たいりょうせいさん)が出来ることです。

炎の特徴は、酸素を追い求めてどんどん上に進んでいくことです。

なので下で火を焚けば、登り窯全体が温まり、多くの焼き物を作る事が出来るのです。

信楽焼カフェ&ギャラリー「OGAMA」登り窯
信楽焼カフェ&ギャラリー「OGAMA」登り窯

背が高くて、一度に何百もの焼き物を作れます。

それだけ信楽焼は全国からの購買需要があったんですね。

登り窯で焼成するときの写真。

奥深いので沢山の焼き物が置けます。

焦げ跡が残っていて歴史を感じます。この空間が10段ぐらいあって、お碗とか皿を何段にも重ねて焼いていたようです。

信楽焼の登り窯の焼成イメージ
信楽焼の登り窯の焼成イメージ


 このogamaの登り窯の近くには、なんと信楽焼たぬきの型があります!

これはレアですね。

はじめて見ました。

信楽焼たぬきの作成イメージ
信楽焼たぬきの作成イメージ

信楽焼カフェ&ギャラリー「OGAMA」内にある古民家の信楽焼販売エリア

信楽焼カフェ&ギャラリー「OGAMA」内にある古民家
信楽焼カフェ&ギャラリー「OGAMA」内にある古民家

信楽焼カフェ&ギャラリー「OGAMA」の登り窯を見ながら、奥にすすむと大きな古民家があります。

古民家の中はカフェ&ギャラリーとなっています。

信楽焼の若手作家さんの作品が、入れ替わりで展示されています。

信楽焼カフェ&ギャラリー「OGAMA」内のギャラリースペース
信楽焼カフェ&ギャラリー「OGAMA」内のギャラリースペース
信楽焼カフェ&ギャラリー「OGAMA」の詳細情報
  • 店名:ogama
  • 所在地:〒529-1851 滋賀県甲賀市信楽町長野947
  • 営業時間:10:00〜16:30
  • 駐車場:約8台(P1駐車場:4台・P2駐車場:4台)
  • 電話番号:0748-82-8066
  • メールアドレス:ogama@meizan.co.jp
  • 定休日:水曜日、木曜日

信楽町最古級の登り窯「丸又窯」が自由に見れる

信楽町最古の登り窯
信楽町最古の登り窯

丸又窯(まるまたがま)は、昭和3年から5年の歳月を費やして小川又一が整地して築き、昭和8年に菱三製陶の分家として開窯した際に作られた登り窯です。

信楽焼カフェ&ギャラリー「OGAMA」から、ちょっと歩くと丸又窯があります。

今では役割を終え、静かに自然に帰っていますが、かつてはこの周辺の窯元さんたちが、共同で使っていたのでしょうか。

歩くだけで陶芸の町の歴史を感じられるようです。

信楽はぜひみなさんにも行ってほしいです。 

丸又窯の詳細情報

  • 所在地: 〒529-1851 滋賀県甲賀市信楽町長野782−2
  • 問い合わせ:0748-82-2345(信楽町観光協会)
  • アクセス:新名神高速道路信楽ICから約7km

信楽町に来たら寄ってほしい美術館「MIHO MUSEUM」

信楽町に訪れた際に、ぜひ立ち寄ってほしい博物館が「MIHO MUSEUM」です。

MIHO MUSEUMは、滋賀県甲賀市信楽町田代にある滋賀県の登録博物館で、展示品はどれも国宝級のものばかりです。特にガンダーラ美術や伊藤若冲(いとうじゃくちゅう)の絵画など、ここでしか見れない貴重な美術品が沢山保存されています。

博物館の駐車場に車を置いたら、本館までは徒歩かバスで行かなければいけません。

そして歩いていくと洞窟トンネルが。

さらに山奥に行くのか。

信楽町の「MIHO MUSEUM」
信楽町の「MIHO MUSEUM」

トンネルの中は整備されていて歩きやすい。

優しい光が出口へと導いてくれます。

「国境の長いトンネルを抜けると雪国だった。」

なんて川畑康成の著書の一説がありますが、まさにここもそれで何かの演出みたい。

一体なにがあるのでしょうか。

信楽町の「MIHO MUSEUM」のエントランス
信楽町の「MIHO MUSEUM」のエントランス

「山奥の長いトンネルを抜けると桃源郷だった」

私の気持ちを表すならば、こう記述します。

豊かな木々に囲まれ、周囲を見渡すと一面の緑。

そして目の前には、ガラス張りの「お寺」でした。

信楽町の「MIHO MUSEUM」のメインエリア
信楽町の「MIHO MUSEUM」のメインエリア

○△□を基調としたこのガラス張りの建物は、単純な形を組み合わせた幾何学模様を意識しています。

デザインしたのはI・M・ペイという中国系アメリカ人の建築家。

なんとフランスのルーブル美術館の「ガラスのピラミッド」を設計された方です。

中に入ると周囲の景観が一望できる展望スポットがあります。

中国黄山の迎客松を意識して、そこから見える景色をイメージして作り上げたという。

手前のガラスは、日本の屏風を再現。

屏風に描かれた絵を、こんなビックスケールで再現してしまっています。

信楽町の「MIHO MUSEUM」館内
信楽町の「MIHO MUSEUM」館内

ここは一見の価値あり。

信楽観光の際は、ぜひ一度立ち寄ってみてください。

MIHOミュージアムの詳細情報

  • 所在地:〒529-1814 滋賀県甲賀市信楽町田代桃谷300
  • 電話番号:TEL:0748-82-3411
  • 最寄り駅:JR琵琶湖線「石山駅」から直通バスあり
  • 開館時間:午前10時~午後5時(入館は午後4時まで)
  • 休館日:春季・夏季・秋季、各開館期間中の月曜日(祝日の場合は各翌平日)

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