岐阜県の美濃焼とは?特徴や歴史、岐阜の焼き物の種類、作家を解説
美濃焼について、特徴や特徴、岐阜の焼き物の種類や作家情報をまとめました。
うつわ魯庵 大皿 織部間道紋 美濃焼本記事では、伝統的な焼き物である「美濃焼(みのやき)」について、歴史や特徴、有名な美濃焼作家などを、現地でのレポートも合わせてご紹介しております。
以下のような方にぜひおすすめしたい記事です。
- 焼き物や陶磁器、器が好き。
- 丁寧な暮らしに興味がある
- 地元の文化や工芸品に興味がある
美濃焼とは、日本人なら誰しもが一度は聞いたことがある名称ですが、果たしてどんな焼き物なのでしょうか。
今回はそんな個性をもつ美濃焼の産地がどういった場所なのかを、実際に行ってきた際の画像や動画などをまじえてご紹介します。
美濃焼(みのやき)とは
美濃焼(みのやき)とは、岐阜県の東部地域で生産されてきた陶磁器の総称です。
なぜ美濃という名称かというと、かつて岐阜県東部の土岐市・多治見市・瑞浪市・可児市といった地区は、美濃国(みのこく)と呼ばれており、良質な粘土(ねんど)がたくさん採取できる地域でした。そのため地域の名称である美濃にちなみんだと言われています。
美濃焼の特徴
美濃焼の特徴は、産地によって異なり、織部焼の緑釉や、黄瀬戸焼の黄色い釉薬などが挙げられます。また美濃焼は”特徴ないことが特徴”とも言われています。美濃焼の産地である岐阜県は、焼き物の原材料が豊富に採れるエリアで、作陶技術も高く、多彩な形と多彩な色合いの美濃焼があります。
美濃焼の種類
美濃焼の種類としては、織部焼(おりべやき)、志野焼(しのやき)、黄瀬戸焼(きせとやき)、瀬戸黒焼(せとぐろやき)が有名です。
どれも岐阜県で作られる焼き物で、それぞれに特徴があります。
織部焼
織部焼は、戦国時代の有名な茶人、古田織部(ふるたおりべ)の指導によって創始されたものだと言われており、青緑色の釉薬や、大まか筆遣いで省略して描かれたような絵柄が特徴です。またわざと器自体に”歪み”がいれられており、それまでのいかに均整のとれた焼き物になったかという美意識を覆した、日本の焼き物の常識を変えた革命的な陶器です。
志野焼
志野焼は白い釉薬が特徴で、よく抹茶碗につかわれます。たっぷり白い釉薬を表面に塗っており、細やかな貫入が入っています。かつて真っ白な磁器を生産できなかった日本では、中国の官窯でつくられたものを輸入していました。日本人の”白”を求める気持ちがはじめて現実となった焼き物です。当時はすごい衝撃だったようですね。
黄瀬戸
瀬戸焼の窯で焼かれた淡く黄色の釉薬が使用されたやきものです。
黄瀬戸の名称の由来は、「黄色い瀬戸焼」です。 線刻や印花などを施した上に釉がけし、鉄とたんぱんの斑紋が特徴とされています。
瀬戸黒
瀬戸黒は、岐阜県の陶器である美濃焼の一種です。名称の由来は「瀬戸からきた黒い焼き物」(諸説あり)です。
瀬戸黒の茶碗は、釉薬が溶け出した瞬間を見極めて窯から取り出し、水につけて一気に冷やすことで独特の艶が出るのが特徴です。
美濃焼の由来
美濃焼の由来は、美濃焼を生産している地名に由来します。美濃の語源は、諸説ありますが、「水(み)がたくさんある野(の)」だと言われており、水分量が豊富な土である陶器に使う粘土も広範囲で採取できたのだろうと推測できます。
そんな地理的理由もあってか、いまでは日本最大の陶磁器生産拠点として、工業用陶器の工場が多数あります。
美濃焼の歴史
美濃焼の歴史は古く、7世紀に須恵器がつくられたことから始まります。
穴窯(あながま:地下式窯)が美濃地方に沢山あり、いまでも史跡として残っているそうです。
その後に早くも釉薬を使用する技術が伝わり、良質な焼き物の産地として全国地に知名度を増していきます。
安土桃山時代にはいると、美濃地方には、織田信長や古田織部としった武人でありながら茶道をおこなう人たちが増え、また茶の湯が唐物から和物へと美意識がシフトしていった茶の湯の世界の流行とともに芸術性を高めていきます。
いままは生活雑貨を中心に生産されていた美濃焼が、芸術性を加えた華道の花器や和菓子をのせる菓子器なども多くつくるようになり、他の焼き物の追随をゆるさないほどの陶器となりました。
美濃焼の作家
岐阜県を中心に生産される美濃焼の、有名な作家さんをご紹介します。
岐阜県は現在でも陶磁器産業が盛んで、県内には数多くの陶磁器の職人や作家がいます。
美濃焼 秀峰-中垣連次氏
美濃焼秀峰は、1954年より岐阜県土岐市駄知町で陶器の器を製造してる老舗の窯元です。そこで陶器をつくる職人である中垣連次(なかがきれんじ)さんは、秀峰の代表であり、美濃焼の職人で織部焼(おりべやき)などの美濃焼の伝統を守りつつ現代に溶け込んだ食器作りを志しています。
美濃焼秀峰の詳細情報
- 所在地:〒509-5401 岐阜県土岐市駄知町1781−2
- 営業時間:9時~17時
- 問い合わせ:0572598489
美濃焼 松泉窯-加藤芳平氏
美濃焼松泉窯は、岐阜県土岐市で陶器を生産する窯元です。松泉窯を代表する職人の加藤芳平(かとうよしへい)さんは、美濃焼伝統工芸士にも登録されている美濃焼の第一人者です。常にお客様目線でつくられる作品は、とても使いやすいと高評価を得ており、また加藤芳平さんが開発した独自の釉薬をつかった作品は、そのデザイン性の高さも評判を呼んでいます。
美濃焼伝統工芸士・加藤芳平氏の松泉窯の詳細情報
- 所在地:岐阜県土岐市下石町649
- 問い合わせ:shousengama@gmail.com
美濃焼のレビューや口コミ
美濃焼の里へいってきた
美濃焼 中垣連次 尺皿 志野織部蟹 カニ絵自宅のある京都から車で2時間、新東名を乗り継ぎ多治見(たじみ)ICでおり、美濃焼の地である多治見市に到着します。
多治見市は岐阜県の東部に位置しており、いわゆる東濃地方の中核都市です。愛知県や長野県などが近く、夏場は40.9度という日本最高気温を記録したことで知った方が多いのではないでしょうか。
先述したとおり、美濃焼は、日本の陶磁器生産量の60パーセント以上を占めますので、市街を車で走ると、あちこち陶器関係の工房や工場を見かけます。みなさんが使っている食器や生活雑貨をメインで作られているので、知らず知らずのうちに、皆さんも美濃焼を使っているかもしれませんね。
多治見市の主要産業はもちろん陶器製品の輸出で、市内には陶磁器やタイルなどの歴史や製品が展示されてるミュージアムがいくつかあります。
そちらをご紹介していきたいと思います。
多治見市美濃焼ミュージアム
平成24年にオープンした美濃焼ミュージアムは、日光が差し込む中庭を中心に5つの展示室を回遊できるようになっています。1300年有余の歴史をもつ美濃焼、その中でも志野・織部、黄瀬戸、瀬戸黒など桃山陶を中心に各時代の焼き物約150点と、人間国宝をはじめ美濃を代表する陶芸家の作品約50点を常時観覧できる、まさに”美濃焼を知りたいならここに来い!”と言えるぐらいに資料が揃っています。
また館内ミュージアムショップには、美濃焼の現代作家の陶器がいくつも販売されており、こちらのミュージアムのみで美濃焼旅行が完結できてしまうほどです。
多治見市美濃焼ミュージアムの基本情報はこちらです。
- 住所:〒507-0801 岐阜県多治見市東町1丁目9−27
- 問合せ先:0572-23-1191
- 営業時間:9:00~17:00(入館は16:30まで)
- 料金:一般 320円 大学生210円(高校生以下無料)
- アクセス:駄知線 多治見駅前より約10分「東町」下車すぐ、東海環状自動車道 土岐南多治見ICより車で約10分
岐阜県現代陶芸美術館
岐阜県現代陶芸美術館は、岐阜県多治見市にある岐阜県運営の公立美術館です。
陶芸の現代をテーマとして、国内外の近現代(19世紀以降)の作品に絞って収集する国内唯一の美術館で、館内には展示以外にも現代作家の美濃焼作品が多数あり、1日中ここにいられるぐらいのボリュームです。
ーーーー基本情報ーーーー
- 住所:〒507-0801岐阜県多治見市東町4-2-5
- 営業時間:10:00~18:00 (入館は17:30まで)
- 問合せ先:TEL 0572-28-3100
- アクセス:多治見ICから車で15分(多治見IC交差点を左折して、東町交差点を右折。)
多治見市モザイクタイルミュージアム
まるでジブリの世界にはいったかのような雰囲気のモザイクタイルミュージアム、建築家の藤森照信氏が設計したユニークな外観の建物です。
施釉磁器モザイクタイル発祥の地にして、全国一の生産量を誇る多治見市笠原町に誕生した「モザイクタイルミュージアム」は、タイルについての情報が何でも揃い、展示もここでしか見られないタイル作品が多数!
かわいいDIYタイルの販売やタイル体験もできるワークショップがあり、美濃焼旅行でははずせない場所です。
ーーーー基本情報ーーーー
- 住所:〒507-0901 岐阜県多治見市笠原町2082−5
- 問合せ先:0572-43-5101
- 営業時間:9時~17時(毎週月曜定休)
- アクセス:車:多治見ICから約25分、JR「多治見」駅下車 「多治見」駅から東鉄バス(約20分の乗車)、「東草口行き」、「曽木中切行き」にて、「モザイクタイルミュージアム」下車
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さらに日本全国の焼き物に興味を持たれた方におすすめの記事をご紹介します。
日本の焼き物の種類や産地を一覧にしてまとめてみました。ぜひ一度ご覧ください。
投稿者プロフィール
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宮城県出身。
仙台の大学卒業後、500年の歴史を誇る老舗和菓子屋に入社。京都にて文人趣味や煎茶道、生け花、民俗画を学び、日本文化への造詣を深める。和菓子屋での経験を活かし、その後、日本文化専門のマーケティング会社でブランディングとPRマーケティングに従事。現在はフリーランスの茶人として活動しながら、日本文化のPRサポートや「みんなの日本茶サロン」を主宰。伝統と現代を結びつける活動を通じて、日本文化の魅力を広めている。みんなの日本茶サロン編集長。
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