煎茶道の流派一覧

煎茶道の流派をまとめました。

煎茶道の教室や稽古場を探している方のために、煎茶道の主要な流派をまとめました。「全日本煎茶道連盟」に加盟している流派が約30流派あり、非加盟の流派も全国に多数存在しています。

煎茶道とは

煎茶道は、茶葉を煎じて淹れる日本の伝統的な伝統文化の1つです。17世紀に中国から伝わり、煎茶のお手前や煎茶道具など日本独自の発展を遂げました。茶の香りと味を楽しむことを重視し、茶器や茶室の美しさも重要視されます。煎茶道には多くの流派があり、それぞれ独自の作法やスタイルを持っています。野外や室内での茶会を通じて、自然や季節の移ろいを感じながら心を静めることが目的とされています。

煎茶道の詳細はこちらの記事をご覧ください。

参考…文化庁「令和5年度生活文化調査研究事業(煎茶道)報告書

煎茶道 流派一覧表(五十音順)

下記の表では、全日本煎茶道連盟に加盟している流派の流名・フリガナをご紹介しています。またその下には五十音順に、加盟していない流派も含めた各煎茶道流派の詳細情報を掲載しています。

流名とフリガナの一覧
流名一覧
流名 フリガナ
知足庵流 ちそくあんりゅう
日本礼道小笠原流 にほんれいどうおがさわらりゅう
松莚流 しょうえんりゅう
小笠原流 おがさわらりゅう
二條流 にじょうりゅう
方円流 ほうえんりゅう
黄檗売茶流 おうばくばいさりゅう
松風流(富山) しょうふうりゅう(とやま)
松香庵流 しょうこうあんりゅう
三癸亭賣茶流 さんきていばいさりゅう
蕉風流 しょうふうりゅう
黄檗松風流 おうばくしょうふうりゅう
薫風流 くんぷうりゅう
玉泉流 ぎょくせんりゅう
売茶流 ばいさりゅう
松月流 しょうげつりゅう
静風流 せいふうりゅう
黄檗弘風流 おうばくこうふうりゅう
東阿部流 ひがしあべりゅう
美風流 びふうりゅう
黄檗幽茗流 おうばくゆうめいりゅう
黄檗掬泉流 おうばくきくせんりゅう
松風花月流 しょうふうかげつりゅう
羽楽流 うらくりゅう
三彩流 さんさいりゅう
織田流 おだりゅう
狭山流 さやまりゅう

参考…全日本煎茶道連盟「加盟流派紹介

あ行

愛茗流(あいめいりゅう)

明治27年に東京中央区新川で創流された煎茶道の流派です。木村幽亭(きむらゆうてい)宗匠が創設しています。お茶をおいしくいれることをモットーにしており、誰でも気軽に入門できる流派とのことです。

参考…全日本煎茶道連盟「愛茗流・木村幽亭(あいめいりゅう・きむらゆうてい)

安部流(あんべりゅう)

煎茶安部流は、第6代家元・坂本糸宗匠を中心に、福山、岡山、四国の3つの支部に所属する会員で構成されています。香川県丸亀市が拠点です。「茶人として社会に貢献する」という理念のもと、チャリティ茶会などを行い、煎茶道の普及と会員の親睦、人格の向上を目指しています。

参考…煎茶安部流洗心会 四国支部

一茶庵(いっさあん)

一茶庵は、大阪城近くに位置する煎茶室で、江戸時代に生まれた文人煎茶の伝統を引き継いでいます。ここでは、煎茶の技法や作法を学ぶ稽古が行われるだけでなく、漢詩や漢文、絵画、書など、煎茶に関連する文化や芸術の鑑賞方法も習得できます。毎月の稽古では、掛物をテーマにその詩や絵の意味を深く理解し、それに合わせたお手前を楽しむことが特徴です。味覚と知性が同時に刺激される体験を提供しています。

一茶庵宗家九如艸堂(大阪市中央区大手通)を拠点に大阪京都で煎茶を指導されています。

参考…大阪文化財ナビ佃家煎茶室主屋

羽楽流(うらくりゅう)

神奈川県横浜市を拠点とする煎茶道の流派です。

永皎流(えいこうりゅう)

江戸時代、中御門(なかみかど)天皇の皇女であらせられる尼門跡寺院大聖寺(京都府京都市)の天巌永皎尼(てんがんえいこうに)が創設された流派です。昭和46年に再興され、2022年に50周年を迎えています。

参考…宮内庁「「第33回大聖寺文化・護友会総会」ご臨席及び関係者とのご懇談(大聖寺/京都府京都市)

黄檗掬泉流(おうばくきくせんりゅう)

東京都三鷹市を拠点に都内で煎茶道教室を展開しています。

黄檗皎上月流(おうばくこうげつりゅう)

三重県津市を拠点にする流派。

黄檗弘風流(おうばくこうふうりゅう)

1959年(昭和34年)に創設された流派で、現在は静岡市葵区を拠点に煎茶道教室を開催されています。緑茶(煎茶・番茶・玉露)のそれぞれに適した点て方でおいしいお茶を味わえるよう、紅茶教室も開催するなど、様々な取り組みを実施されています。煎茶道を通して日本文化を育てることをもモットーにしています。

黄檗松風流(おうばくしょうふうりゅう)

愛知県名古屋市を中心に煎茶道教室を開催する流派です。

参考…全日本煎茶道連盟「黄檗松風流・加藤久道(おうばくしょうふうりゅう・かとうきゅうどう)

黄檗売茶流(おうばくばいさりゅう)

大阪府高槻市を中心に煎茶道教室を開催する流派です。

黄檗東本流(おうばくひがしほんりゅう)

この流派は、東京都三鷹市を中心に、京都府宇治にある黄檗山萬福寺を創建した隠元禅師の「茶禅一味」の精神と、煎茶の中興の祖とされる売茶翁の教えを大切にしています。日常生活の中でお茶の心を大切にしながら、喫茶の歴史や茶の種類、その淹れ方、文房四宝、五節句と煎茶の関わりなどを学び、お茶をどのように楽しみ、味わうかを深く探求する流派です。

黄檗幽茗流(おうばくゆうめいりゅう)

東京を拠点に活動する煎茶道の流派です。

小笠原流(おがさわらりゅう)

兵庫県芦屋市を中心に関西各地に煎茶道教室を展開している流派。小笠原流煎茶道は、遠祖・遠光が鎌倉幕府初代将軍・源頼朝に仕えたことに始まり、江戸時代には武士階級中心の封建社会で礼法の代表的存在となりました。煎茶道は江戸時代中期から文人たちの間で広まり、明治・大正時代には一般民衆にも愛好されました。小笠原流煎茶道は伝統的な礼法を守りつつ、時代に適応した現代的な茶道として発展し、今日では日常生活に深く根ざした茶道として確立されています。

小川流(おがわりゅう)

この流派は京都を中心に発展し、京都六流派の一つとされています。小川流は、江戸時代末期に京都の小川可進(初代・小川後楽)が創立した煎茶道の流派です。可進は医者として御典医を務めましたが、煎茶への強い関心から50歳で煎茶家に転身しました。彼は茶の真味を追求し、衛生的かつ合理的な煎茶法を編み出しました。また、独自の茶器や日本の茶葉に適した煎法を考案し、煎茶の世界を革新しました。戦後、6代目・小川後楽は椅子を用いる立礼式を導入し、現代にも受け継がれています。

織田流(おだりゅう)

織田流煎茶道は、仙台を拠点に発展した流派で、茶祖・織田有楽斎を起源とし、現在十六代目の家元がその伝統を守っています。有楽斎の抹茶は「有楽流」、煎茶は「織田流」として受け継がれ、優美さと格調の高さが特徴です。江戸時代から「客をもてなす」を本義とし、相手を窮屈にさせず、恥をかかせず、満足感を与えるという三つの教えが伝えられています。この精神は、現代の国際社会においても参考になる重要な教えです。仙台藩の武士たちによって支持され、独自の作法と美学を持っています。


か行

花月菴流(かげつあんりゅう)

花月菴流は、田中鶴翁を初代家元とする煎茶道の流派です。 花月菴流のお手前は江戸時代の雰囲気を残した古風なものであると伝えられています。煎茶道は、抹茶を主とする茶道とは異なり、急須を用いて煎じたお茶を味わう日本の伝統的な茶道です。大阪府大阪市を拠点としています。

春日流(かすがりゅう)

春日流(かすがりゅう)は、江戸時代中期に誕生した煎茶道と深い関わりを持つ、東京を拠点にした華道の流派であり、そのルーツは、文人たちが精神的な自由を求めて創造した文化にあります。煎茶道は、江戸時代の固定化した社会の中で、文人たちが世俗から解放され、聖なるものを追求する手段として発展しました。煎茶道の精神は、単にお茶を楽しむだけではなく、心の自由を求める文人的な生活を象徴しています。この背景の中で、春日流瓶花(かすがりゅうへいか)は、お茶を楽しむ空間に花を活けるという伝統を育んできました。春日流の特徴は、煎茶道の精神を体現し、単に美しい花を活けるだけではなく、花と空間、しつらえ、道具との調和を大切にする点です。西欧化が進み、モダンな生活空間でお茶を楽しむことが一般的になった現代においても、春日流では、花が単独で存在するのではなく、部屋の全体的な雰囲気や他の道具と調和しながら活けられることが重要とされています。これは、煎茶道の本質である精神の自由と、美しさを追求する姿勢を反映しています。煎茶道は、現代においても日常の閉塞感を解き放ち、精神の安らぎをもたらす手段として、多くの人々に親しまれています。

玉川遠州流(ぎょくせんえんしゅうりゅう)

玉川遠州流は、京都で三百二十年以上の歴史を誇る、武家茶道の流派です。この流派の最大の特徴は、他の多くの茶道流派とは異なり、抹茶道と煎茶道の両方が伝わっている点です。これは、初代の大森漸斎が小堀遠州から抹茶を、石川丈山から煎茶をそれぞれ学んだことによるものです。そのため、玉川遠州流では抹茶と煎茶の両方の美学を体現し、優雅でゆったりとしたお点前を特徴としています。玉川遠州流は武家茶道でありながらも非常に優雅な点前が伝わっています。武家の厳格さと公家の優雅さが融合した、特有の様式が魅力です。また、抹茶と煎茶の両方を取り入れた多彩な点前は、現代においても多くの茶人に愛されています。

隈野聚鳳流(くまのじゅほうりゅう)

隈野聚鳳流(くまのしゅうほうりゅう)は、密教との深い関わりを持つ、兵庫県丹波市を中心とした熊野系の古茶道の流派です。他の煎茶道の流派が文化芸術を愛でる要素が強いのに対し、隈野聚鳳流は主に献茶に重きを置いており、神に捧げる茶の儀式から始まった独特な茶道を伝えています。

特に熊野三山と深い縁を持つことが特徴で、熊野信仰の中心地である熊野本宮大社(田辺市)、熊野速玉大社(新宮市)、熊野那智大社(那智勝浦町)との関わりが強いことから、「熊野園」という名が使われることもあります。熊野信仰の精神と茶道が融合したこの流派では、毎年2月と3月に古神道の献茶式が熊野神社で行われ、神聖な場で茶を神に捧げる儀式が行われます。

隈野聚鳳流の献茶は、神への祈りと奉納の行為として、単なるお茶の供養を超え、茶の一服を通じて心を清め、神と人とのつながりを感じさせるものです。熊野の神々に茶を捧げることを通じて、自然や天地の力に感謝し、心を和ませるひとときを提供することが、この流派の目的とされています。煎茶道の中でも独自の精神性を持ち、世俗から離れた神聖な茶の儀式を大切にしています。

隈野聚鳳流の茶の作法は、熊野信仰に基づく神聖な儀礼の中で磨かれ、静かな祈りの中で茶を点て、自然や天地に感謝するという考え方が根幹にあります。

参考…本家 熊野園 – ぐるり!丹波篠山

雲井流(くもいりゅう)

華道雲井流(かどううんいりゅう)は、家元である三蔭不二庵一翠宗匠が京都で煎茶を習得し、開いた流派です。この流派は、華道と煎茶道の両方を融合させた独自の形式を持ち、茶の文化と花を愛でる日本の伝統美を深く追求しています。現在でも、華道雲井流と同一の家元が流派を継承し、その伝統が受け継がれています。

村上一紫園は、故人でありながら華道雲井流の高弟として特に名高く、四国で大きな活動を展開していました。彼の影響もあり、現在でも四国を中心にこの流派が活発に活動しており、地域の文化に根付いています。

華道雲井流は、花を通じて人々に美と和の精神を伝えることを目的としており、煎茶の繊細な儀式と組み合わせて心の豊かさを表現しています。四国においては、村上一紫園の影響力が大きく、彼が培った伝統が今もなお継承され、華道や煎茶道を愛する多くの人々に支持されています。

参考…雲井流煎茶道家元「不二庵一翠」略歴について | レファレンス

薫風流(くんぷうりゅう)

  • 名古屋市。
  • 1918年、加藤景石が創設。

光輝流(こうきりゅう)

  • 愛媛県今治市の流派。
  • 煎茶道と合わせて華道も教えている。

香山流(こうざんりゅう)

  • 千葉県を中心に活動する流派
  • 礼式小笠原香山流としてカルチャーセンターで煎茶道教室を開講している。

参考…煎茶を楽しむ~香山流・立礼式

皇風煎茶禮式(こうふうせんちゃれいしき)

  • 京都市上京区。皇風流と呼ばれています。森下邦堂が創設。京都六流派と呼ばれる京都の煎茶道の流派の1つです。
  • 清風苑。

光風流(こうふうりゅう)

  • 大分市。

さ行

三癸亭賣茶流(さんきていばいさりゅう)

  • 広島県広島市。

三彩流(さんさいりゅう)

  • 仙台市。
  • 開祖・秩父光月師と二世星華丈が昭和13年に東京で創設。

茶華道柴山流柴山流(しばやまりゅう)

**茶華道柴山流(ちゃかどう しばやまりゅう)は、大正8年(1919年)に初代家元である熊野松濤(静男)先生によって山口県で創流されました。流派の名前である「柴山」は、煎茶道の祖とされる高遊外売茶翁(こうゆうがいばいさおう)**の姓「柴山元昭」に由来しています。このことから、柴山流は煎茶道の伝統を強く引き継ぎつつ、茶と花を通じてその精神を表現する流派として発展してきました。

松莚流(しょうえんりゅう)

  • 広島市。
  • 昭和に深翠堂松莚が創設。

習軒流煎茶道(しゅうけんりゅう)

  • 兵庫県神戸市の流派。
  • 南画家であり花月庵流の番頭であった坂田修軒氏が創設。

松香庵流(しょうこうあんりゅう)

  • 横浜市。
  • 明治時代、小西西波が創設。

松風花月流(しょうふうかげつりゅう)

  • 千葉県。

笙風社(しょうふうしゃ)

  • 栃木県。

松月流(しょうげつりゅう)

煎茶道松月流(しょうげつりゅう)は、昭和16年に初代家元の渡辺宗敬によって創流された煎茶道の流派であり、「総愛和(そうあいわ)」を基調としています。総愛和とは、全ての人々との調和と愛を尊重する精神を指し、松月流はこの理念を大切にしながら活動を続けています。

昭和54年には、文部大臣の許可を得て、煎茶道の流派として初の財団法人を設立。これにより、財団法人松月流として正式に認可され、日本における煎茶文化の普及と発展に尽力してきました。現在、松月流は全国に23の支部を持ち、その活動は日本全国に広がり、多くの人々に煎茶道の魅力を伝えています。煎茶道の中でも、日本を代表する流派の一つとして知られています。

松月流の拠点と活動

松月流の本部は、愛知県豊橋市新本町にあり、1階にはギャラリーが併設されています。このギャラリーでは、煎茶道具や懐紙、扇子などの基本的なアイテムから、骨董品や陶磁器作家の作品に至るまで、様々な茶道具が展示・販売されています。松月流のギャラリーは、煎茶道を愛する人々が気軽に立ち寄り、道具や芸術に触れる場としても機能しています。

松風清社(しょうふうせいしゃ)

  • 大阪府。

松風流(富山)(しょうふうりゅう)

  • 富山県。

瑞芳菴流煎茶道(ずいほうあんりゅう)

  • 昭和初期に淀藩国家老の曾孫である西山水仙が瑞芳菴流煎茶道を創立し、京都六流派の一つとして位置づけられています。毎年、宇治上神社での献茶奉仕を行っているほか、平安神宮や八坂神社でも京都六流派が輪番で献茶奉仕を担当しています。平成26年には平安神宮、平成27年には八坂神社で献茶を行い、伝統を守り続けています。京都煎茶会に所属。武家手前が特徴。

清泉幽茗流(せいせんゆうめいりゅう)

・東京都八王子市の初代家元教室、横浜市の家元教室を中心に煎茶道教室や文人華道教室を開催する流派です。清泉幽茗流は、煎茶道と文人華道を融合させた流派であり、日常生活にお茶と花の文化を取り入れることを大切にしています。古川純佳家元は、伝統的な手法を継承しつつ、現代社会に合った形で芸道を探求しています。この流派は「温故知新」の精神を掲げ、実技と理論の両面から芸を学び、個々の身の丈に合った表現を尊重します。茶文化を通じて、自然との調和や他者への心遣いを学び、豊かな心を育むことを目指しています。

静風流(せいふうりゅう)

  • 静岡市

た行

東仙流(とうせんりゅう)

京都市東山区にある泉涌寺の長老が代々家元となっている流派です。

な行

日本礼道小笠原流

日本礼道小笠原流煎茶は、昭和五年(1930年)に初代家元の諸泉祐道が創設した流派で、煎茶と小笠原礼法を融合させた点が大きな特徴です。この流派の誕生は、急速に西洋文化が流入し、科学文明が発達した時代背景の中で、伝統的な礼法の重要性が見直される時代にありました。祐道は、元小倉藩十一代当主の小笠原長幹伯からの要請を受けて、この流派を京都で創流しました。

二條流(にじょうりゅう)

二條流煎茶道は、明治元年に神戸で水島雅荘によって創設され、現在は七世家元の二條雅瑛がその伝統を継承しています。この流派は、煎茶を中心に、玉露、番茶、香煎、さらには酒点など、幅広い種類のお茶を取り扱い、それぞれのお茶の特性に応じたお点前を提供することを大切にしています。

二條流では、日本人としての礼法や礼節、和の心を培うことを目的とし、煎茶を通じて日常生活に欠かせない常識や礼儀を学ぶ道として修行が行われています。

お点前の多様性と道具の調和

二條流の煎茶道は、扱う茶の種類だけでなく、道具の選び方にもこだわりを持っています。陶器、磁器、漆器、金属器などの道具をバランスよく調和させることで、茶席に華やかさと落ち着きのある雰囲気を演出します。お点前はそれぞれの茶が最も美味しく淹れられることを念頭に考えられ、その味わいを楽しむことが重要視されています。

は行

売茶流(ばいさりゅう)

**八橋売茶翁(やつはしばいさおう)**は、江戸時代後期の煎茶道の名士であり、煎茶道売茶流の祖として知られています。彼の生涯は茶と禅に深く関わり、日本各地でその文化を広めました。

生涯

八橋売茶翁の本名は方巌曇煕(ほうがんどんき)で、宝暦10年(1760年)に九州の福岡県笠原家に生まれました。27歳の時、上京し、禅の修行に励むことを決意。彼は、仙崖和尚や妙心寺の月船禅師に師事し、禅を深く学びました。その後、煎茶道の奥義を相国寺の大典禅師から伝授され、売茶流煎茶道を確立しました。

その後、江戸に移住し、梅谷に茶店を開き、通行人に茶を施す生活を送りました。彼の茶店は、多くの文化人や文人に親しまれ、彼の煎茶の技術と心に惹かれる人々が集まる場所となりました。

東阿部流(ひがしあべりゅう)

東阿部流は、明治末期に創流された煎茶道の流派であり、流祖は稲生雪松です。この流派は、煎茶家である阿部縑州の流れを汲み、煎茶道の伝統を受け継ぎながら、100年以上にわたり日本国内外で活動を続けてきました。

国際的な活動

東阿部流は、日本国内だけでなく、世界中に煎茶道の文化を広めるために積極的に活動しています。これまでにアメリカ、ベルギー、中国、台湾、ベトナムなど、さまざまな国で茶会や煎茶道の体験イベントを開催してきました。これらの国際的な活動を通じて、煎茶道は単なる日本の伝統文化に留まらず、世界の人々との文化交流の架け橋となっています。

全日本煎茶道連盟との連携

また、東阿部流は全日本煎茶道連盟の会員として、日本全国で年間を通じて茶会を開催しています。これにより、煎茶道の普及に努めるだけでなく、全国各地での文化活動を通じて、多くの人々に煎茶道の魅力を伝えています。

このように、東阿部流は国内外での活動を通じて、煎茶道の文化を守りつつ、広く世界に発信し続けている流派です。

美風流(びふうりゅう)

  • 奈良県
  • 文人趣味が特徴

方円流(ほうえんりゅう)

  • 京都市。

ま行

三井古流煎茶道

滋賀県大津市にある園城寺を拠点とした流派。

園城寺では煎茶道体験を不定期で実施いている。

参考…園城寺「体験のご案内

投稿者プロフィール

東叡庵
東叡庵煎茶講師/日本文化PRマーケター
宮城県出身。
仙台の大学卒業後、500年の歴史を誇る老舗和菓子屋に入社。京都にて文人趣味や煎茶道、生け花、民俗画を学び、日本文化への造詣を深める。和菓子屋での経験を活かし、その後、日本文化専門のマーケティング会社でブランディングとPRマーケティングに従事。現在はフリーランスの茶人として活動しながら、日本文化のPRサポートや「みんなの日本茶サロン」を主宰。伝統と現代を結びつける活動を通じて、日本文化の魅力を広めている。みんなの日本茶サロン編集長。