茶道の懐紙とは?使い方や身につけ方、種類を解説
茶道における懐紙とは
懐紙とは、着物の懐に入れて持ち運ぶ二つ折りの紙のことです。茶道においては菓子鉢から懐紙にお菓子を置いて受け皿のように使ったり、茶碗を拭いたり、干菓子を持ち帰る際に包んだりと、さまざまな用途で使っています。
懐紙の種類
懐紙の種類は大きく種類あります。白い無地の和紙でてきた懐紙、柄や絵柄がプリントされた懐紙、油分や水分を通さない硫酸紙の懐紙です。
白い無地の懐紙
白い無地の懐紙は、広くつかわれている最も一般的な懐紙です。お茶会はもちろん、伝統的な行事や冠婚葬祭の際にもよく使われます。
お茶会では和菓子を置く際に、よく使われます。
プリント懐紙
デザインや絵柄がプリントされた懐紙は、お茶会で個性を出すときに使われることが多いです。例えば花柄や、地域の工芸品がプリントされた懐紙がお茶会で出ることがありますが、その懐紙をきっかけにして、茶会の席主がお話を始めることがあります。
絵柄がプリントされている懐紙は、伝統を重んじる茶会では、相応しくない場合があります。
硫酸紙
硫酸紙は半透明でツルツルとした紙で出来た懐紙です。製造工程において、紙の原料となるパルプを濃硫酸に浸して、紙質を変質させてつくられます。防水性と、油分を通さない性質があるので、特に水菓子の出る夏場のお茶会で、普通の懐紙の上に一枚敷いて使われることが多いです。
懐紙の使われ方や使い方
懐紙の使われ方や使い方は、お菓子を置く以外にも様々あります。
主菓子を置く
懐紙の主な用途としては、菓子鉢から主菓子をとる際に、受け皿として使われます。
使用する際は、ずらして二つ折りにし、わさを自分側に向けて使います。
持ち帰る際にお菓子を包む
お茶会では、主菓子のほかに干菓子や落雁が出てきます。
もしその場で食べれなかった場合、残してしまう可能性がある時は、懐紙で包んで持ち帰ることができます。
食事の際に使う
食事の際に、こぼしてしまった、ボロボロ落としてしまったときに懐紙が使えます。
食べ物を落とすのは、あまり良くない行為ですが、懐紙で包んで拾うことで心象も良くなります。
即席のメモ帳
懐紙はメモ帳にも使えます。お茶会やお稽古の際に、スマホが無かったりメモするものが無かった時に、懐紙が使えます。
懐紙はもともと、俳句や和歌を書く道具でもあっため、メモ帳にぴったりです。
簡易のポチ袋
懐紙は、現金や商品券などを包む際にも使えます。
現金をそのまま渡すよりかは、懐紙に包んで渡すことで、スマートに渡すことができます。
ハンカチやティッシュの代わりで拭く
懐紙はハンカチやティッシュの代わりに、使うことができます。
和紙でてきているため吸水性があり、汚れを吸収しやすいです。
お茶席やお稽古では、茶碗の縁を拭く際に使います。
懐紙の使用方法や流れ
お茶席やお稽古での、懐紙の使用方法をご紹介します。
懐紙の使う流れとしては、懐紙を出してお菓子を取る、黒文字を拭く、茶碗を拭くといったものになります。
懐紙を出す
お茶席では、お点前がはじまるとお菓子が菓子鉢にはいって、回ってきます。
回ってきた菓子鉢が自分の番になった際に、「頂戴します」と席主に挨拶します。
その後に懐紙袋から懐紙を取り出します。
二つに折って、お菓子をとる
懐紙はまずズラして二つ折りにします。着物が左前を重視するように、懐紙も左が上にくるように折りましょう。
また二つ折りにした懐紙を自分の前に置く際は、折り目であるわさが、自分側にくるようにしましょう。
回ってきた菓子鉢には、主菓子や干菓子が入っていますが、取る順番は「より下のもの」「同じ高さなら右にあるもの」と覚えておくと良いです。
黒文字を清める
菓子鉢とともに回ってきた黒文字も、懐紙の縁で拭きます。
お菓子をいただく
お菓子をいただく際は、懐紙を皿のようにつかって持ち上げ、口元に近づけて食べましょう。
懐紙の身につけ方・持ち運び方
懐紙の身に着け方・持ち運び方を、着物と洋服の場合それぞれで解説します。
着物の場合
着物の場合は、袱紗と共に懐紙を懐にいれて持ち運びます。
ちょうど着物の中にきる襦袢が交差する胸あたりに入れると良いです。
懐紙は束で折ってある状態で、折り目であるわさ部分を下にします。
洋服の場合
洋服の場合は、袱紗ばさみや懐紙袋を使います。
袱紗ばさみや懐紙袋には、懐紙や袱紗、扇子、黒文字や菓子切りを入れます。
懐紙は、折り目であるわさが下になるように入れましょう。
投稿者プロフィール
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宮城県出身。
仙台の大学卒業後、500年の歴史を誇る老舗和菓子屋に入社。京都にて文人趣味や煎茶道、生け花、民俗画を学び、日本文化への造詣を深める。和菓子屋での経験を活かし、その後、日本文化専門のマーケティング会社でブランディングとPRマーケティングに従事。現在はフリーランスの茶人として活動しながら、日本文化のPRサポートや「みんなの日本茶サロン」を主宰。伝統と現代を結びつける活動を通じて、日本文化の魅力を広めている。みんなの日本茶サロン編集長。