宝蔵寺と伊藤若冲について|京都にあるお寺と髑髏(どくろ)の御朱印
京都河原町にある、伊藤若冲ゆかりのお寺「宝蔵寺」の髑髏図御朱印をご紹介します。
NHKの正月ドラマ「ライジング若冲」でおなじみ、京都の町絵師”伊藤若冲”(いとうじゃくちゅう)、歌舞伎俳優の中村七之助(なかむらしちのすけ)さん演じる美しすぎる若冲が話題になりました。
数々の作品を残した若冲ですが、「髑髏図」というおどろおどろしい作品を残しています。
そして伊藤若冲親族の菩提寺には、なんとその髑髏図を用いたお墓が!
今回はそんな髑髏図のある京都河原町・宝蔵寺(ほうぞうじ)についてご紹介します。
京都の町絵師「伊藤若冲」とは
伊藤若冲(いとうじゃくちゅう:1716年-1800年)とは、江戸時代に京都で活躍した町絵師です。今では京都を代表する観光スポットとなっている”京の台所”である錦市場(にしきいちば)の青物問屋(※今でいう八百屋さん)「桝屋」(ますや)の3代目当主・桝屋源左衛門(ますやげんざえもん)の長男として生まれました。
錦市場のなかでも比較的裕福な枡屋の長男としてうまれた伊藤若冲は、家業を学びながらも、趣味として狩野派から絵を学び、禅僧から水墨画や書を学び、京都琳派(りんぱ)とも交流があるなど、若いころから絵の勉強もされていたそうです。
やがて伊藤若冲は、一旦は4代目枡屋源左衛門として青物問屋を継いだものの、相国寺(しょうこくじ)の和尚「大典顕常」(だいてんけんじょう)から絵の才能を見出され、同じ時期に相国寺にて出会った煎茶道(せんちゃどう)の祖である高遊外売茶翁(こうゆうがいばいさおう)ら文化人との交流も深まり、絵師として独立しました。
売茶翁に興味を持たれた方はぜひ下記の記事もご覧ください。
とくに大典顕常(だいてんけんじょう)和尚との交流は深く、あの明治天皇にも奉納された「動植彩絵」(どうしょくさいえ)は、最初は相国寺に奉納されました。
大典和尚といえば、人気俳優の永山瑛太(ながやまえいた)さん演じる美しすぎるお坊さんが話題になりました。ドラマでも強調されていたように、かなり深い仲だったようですね。
京都で同時期に活躍した絵師には、イケメン俳優の大東駿介(だいとうしゅんすけ)さん演じる旅好き山登り好きの奇想の画家「池大雅」(いけのたいが)や門脇麦(かどわきむぎ)さん演じる「池玉瀾」(いけのぎょくらん)、中川大志さん演じる円山応挙(まるやまおうきょ)がいました。
伊藤若冲の名前の由来とは
枡屋源左衛門(ますやげんざえもん)という名前は、家業としての名前であり、姓は伊藤でした。
若冲の名前は、先述した相国寺の大典顕常(だいてんけんじょう)和尚と、高遊外売茶翁が関係してきます。
売茶翁とは、黄檗禅宗の僧侶ですが、京都市内で茶を売りながら禅を説く、という珍しい茶業をしていた方で、大典顕常和尚とも交流が深かったそうです。その売茶翁がお茶を淹れる際に使っていた水指(みずさし:水をそそぐ煎茶道具で注子などともいう)に、大典顕常和尚が以下の言葉を書いたと言われています。
「去濁抱清 縦其灑落 大盈若冲 君子所酌」
ー濁を去(あら)い清を抱き、其の灑落(しゃらく)を縦(ほしいまま)にす。大盈(たいえい)冲(わ)くが若し、君子の酌む所ー
中国老子の漢詩ですが、意味は「非常に大きな器があるとする。その中に何も入っていないときは、役に立たない無用の長物と見える。しかし、そこに水か酒でも満たし始めると、底知れぬ大きさだと気付くだろう」といったもの。
その後半に書かれている「大盈若冲」から、名前をとり、伊藤若冲と名乗るようになったと言います。
宝蔵寺とは
京都河原町駅から徒歩10分、京都市寺町に位置する、浄土宗の寺院です。
寺町とは、豊臣秀吉の時代に、京の町の区画整理がおこなわれ、お寺が集まる”寺町”が出来ました。
その際に元西壬生郷よりこちらに移転されてきたそうです。
京の台所である”錦市場”より目と鼻の距離にあるこちらのお寺は、伊藤家の菩提寺です。
伊藤若冲は、寛延4年(1751)9月29日に父母の墓石、明和2年(1765)11月11日に末弟・宗寂の墓石を宝蔵寺に建立しました。
ーーーー基本情報ーーーー
住所:〒604-8041 京都府京都市中京区裏寺町通蛸薬師上ル裏寺町587番地
拝観時間:一般拝観は行われておらず、伊藤若冲親族のお墓参りや、御朱印の受付は午前10時~午後4時まで可能。
問い合わせ:075-221-2076(平日の午前10時~午後4時まで)
アクセス:阪急電車「京都河原町駅」から徒歩10分、京阪電車「祇園四条駅」から徒歩15分
髑髏図の御朱印
こちらのお寺で参拝すると特別にいただける、伊藤若冲の髑髏図をベースとした御朱印です。
門をくぐり中に入ると、左側に事務局があり、そちらでお声がけください。
投稿者プロフィール
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宮城県出身。
仙台の大学卒業後、500年の歴史を誇る老舗和菓子屋に入社。京都にて文人趣味や煎茶道、生け花、民俗画を学び、日本文化への造詣を深める。和菓子屋での経験を活かし、その後、日本文化専門のマーケティング会社でブランディングとPRマーケティングに従事。現在はフリーランスの茶人として活動しながら、日本文化のPRサポートや「みんなの日本茶サロン」を主宰。伝統と現代を結びつける活動を通じて、日本文化の魅力を広めている。みんなの日本茶サロン編集長。
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