お正月にお屠蘇を飲む意味は?作法や由来、原材料やアルコール度数、作り方・レシピも解説!
お正月に飲まれる伝統的なお酒「お屠蘇(おとそ)」は、日本の正月行事に欠かせないものです。お屠蘇には古くから健康や長寿を願う意味が込められており、新年の始まりにふさわしい縁起の良い風習として現代まで続いています。この記事では、お屠蘇の由来や作法、原材料、アルコール度数、さらには自宅で作るためのレシピまで、詳しく解説します。
お屠蘇を飲む意味とは?
お屠蘇は、ただのお酒ではなく、「邪気を払って無病息災を祈る」という意味があります。新年に飲むことで、昨年の厄を払うと同時に、新しい年を健やかに過ごせるように願います。古くから「年齢を延ばす薬酒」ともされ、長寿の象徴としての役割を持ちます。
お屠蘇には家族全員で飲む習慣があり、家族の健康と繁栄を願う気持ちが込められています。この風習は、お正月ならではの日本文化の一環として広く受け継がれています。
お屠蘇の由来
お屠蘇の歴史は、中国の漢代にまでさかのぼります。中国では、漢方薬を使った薬酒を新年に飲む風習があり、それが日本に伝わり、平安時代には宮中行事として定着しました。「屠蘇」という言葉の由来にはいくつかの説がありますが、代表的なものに「邪気を屠り、魂を蘇らせる」という意味が込められています。
日本では平安時代以降、宮中や武家で新年の健康を願う習慣として広まり、次第に一般庶民にも伝わり、現在に至っています。
お屠蘇の作法
お屠蘇は、新年の朝に家族が集まって飲むのが基本です。飲む順番や杯の使い方にも作法がありますが、以下が一般的な手順です。
- 飲む順番
家長や年長者から順に飲むのが正式な作法です。家族が集まり、最初に年長者が一口飲み、次に若い人へと杯を渡していきます。これは、年長者が邪気を先に受け、若い人たちを守るという意味があります。 - 杯の使い方
お屠蘇は、三つの杯(大、中、小)を使って飲むのが一般的です。小さい杯から順に三杯飲み、健康や長寿を願います。各杯で少量ずつ口に含むのが作法とされています。 - いただく時の姿勢
正座をしていただくのが一般的です。盃を手に取り、軽く一礼をしてから、ゆっくりと飲みましょう。
お屠蘇の原材料とアルコール度数
お屠蘇は、数種類の薬草を漬け込んだ薬酒で、体に良い効果をもたらすとされています。以下が、お屠蘇に使われる主な薬草です。
- 山椒(さんしょう):体を温め、消化を促進する効果。
- 桂皮(けいひ):血行を良くし、冷えを改善。
- 桔梗根(ききょうね):喉の調子を整える。
- 防風(ぼうふう):風邪予防、免疫力を高める効果。
- 菊花(きくか):目の疲れを癒し、リラックス効果。
これらの薬草を酒やみりんに漬け込むことでお屠蘇が作られます。市販のお屠蘇用の薬草セットも手に入りやすいので、自宅でも簡単に作ることができます。
アルコール度数は、通常の日本酒やみりんを使うため、およそ13~15度程度です。未成年やお酒が飲めない人には、ノンアルコールの屠蘇散を使用しても良いでしょう。
お屠蘇の作り方・レシピ
自宅でも簡単にお屠蘇を作ることができます。以下は一般的なレシピです。
材料:
- お屠蘇散(市販の薬草セット)
- 日本酒(またはみりん):300ml
- みりん(または水で薄めたお酒):300ml
作り方:
- 薬草を漬け込む
お屠蘇散を布袋や茶こしに入れ、日本酒とみりんを合わせた液体に漬け込みます。漬ける時間は6時間から一晩が目安です。お屠蘇の風味をしっかりと引き出すために、冷蔵庫で保存します。 - できあがり
漬け込んだ後、お屠蘇散を取り除き、お正月当日に少しずついただきます。自宅で作るお屠蘇は、好みで味を調整できるため、家族全員で楽しめるでしょう。
お屠蘇にまつわる豆知識
- 屠蘇器
お屠蘇をいただく際に使う伝統的な杯や器は「屠蘇器」と呼ばれます。三つの杯が重なった形が一般的で、祝いの席で使われることが多いです。 - 屠蘇散
市販されている「屠蘇散」は薬局やスーパーで手軽に購入でき、自宅で簡単にお屠蘇を作れるアイテムです。新年の準備として用意しておくと良いでしょう。
まとめ
お屠蘇は、日本の正月行事の一環として古くから受け継がれてきた健康を祈る風習です。その由来や作法、薬草の効果など、知れば知るほど奥深い意味が込められていることがわかります。お屠蘇を飲むことで、新年の健康と幸福を祈り、家族と一緒に新たな年を迎える素敵な習慣をぜひ取り入れてみてください。
自宅で簡単に作れるお屠蘇レシピも紹介しましたので、今年のお正月には、オリジナルのお屠蘇で家族と共に健康を願うひとときを過ごしてみてはいかがでしょうか。
投稿者プロフィール
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宮城県出身。
仙台の大学卒業後、500年の歴史を誇る老舗和菓子屋に入社。京都にて文人趣味や煎茶道、生け花、民俗画を学び、日本文化への造詣を深める。和菓子屋での経験を活かし、その後、日本文化専門のマーケティング会社でブランディングとPRマーケティングに従事。現在はフリーランスの茶人として活動しながら、日本文化のPRサポートや「みんなの日本茶サロン」を主宰。伝統と現代を結びつける活動を通じて、日本文化の魅力を広めている。みんなの日本茶サロン編集長。
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