仙台市青葉区春日町の老舗和菓子屋「売茶翁」と友人

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仙台市青葉区春日町にある老舗和菓子屋「売茶翁」は、私たちにとって特別な場所です。特に私の友人、京都から仙台にやってきた彼女にとって、「売茶翁」は新たな日常の中で、京都とのつながりを感じることのできる場所でした。

彼女との出会いは、宮城大学でのこと。彼女は京都出身で、大学進学を機に仙台に移り住みました。大学4年生の彼女は、煎茶道茶道をたしなんでおり、日本の伝統文化に深い愛情を持っていました。仙台での新しい生活が始まる中、彼女は「売茶翁」という和菓子屋に出会い、その魅力にすぐに引き込まれたのです。

煎茶道教室で初めて「売茶翁」の和菓子を口にした彼女は、その味に驚きと喜びを感じたと言います。特に彼女のお気に入りは「みちのくせんべい」と「塩麿(しおまろ)」でした。「みちのくせんべい」は、素朴な味わいと心地よい歯ごたえが特徴で、彼女は「このせんべいを食べると、仙台の自然と共に生きているような気がする」とよく話していました。

「みちのくせんべい」は、甘さが控えめで、どこか懐かしさを感じさせる味わいです。陶器の皿にポツンと置かれた売茶翁の和菓子、彼女はその素朴さに魅了され、毎回のように煎茶道教室でこのせんべいを楽しんでいました。彼女が特に感銘を受けたのは、そのせんべいの奥深い味わいでした。「日本茶と一緒にみちのくせんべいを食べると、そのシンプルな中に詰まった日本の伝統と心が感じられる」と、彼女は語っていました。

一方、「塩麿」も彼女の心を捉えて離さなかった一品です。塩気の効いた餡が特徴の「塩麿」は、甘さと塩味のバランスが絶妙で、彼女は「この和菓子は、京都で食べたことのあるどんな和菓子にも劣らない」と絶賛していました。彼女が仙台での生活に馴染む中で、「塩麿」は彼女にとって、京都の思い出と仙台の新しい日常をつなぐ架け橋のような存在になっていたのかもしれません。

そんな彼女が京都から両親を迎えた際、「売茶翁」の和菓子を仙台土産として用意するのは、もはやお決まりのことでした。彼女の両親もまた、「売茶翁」の和菓子に感銘を受け、「仙台にはこんな素晴らしい和菓子があるのか」と驚いていました。特に「みちのくせんべい」と「塩麿」は、彼女が両親に「仙台の味」として自慢するものでした。店名の由来ともなっている煎茶道の中興の祖である売茶翁が、京都で晩年を過ごしたことにも、何か縁を感じているようでした。

また、彼女の家では、「売茶翁」の饅頭や羊羹がしばしば食卓に並びました。彼女はこれらの和菓子を心から愛しており、「売茶翁」の饅頭のふっくらとした生地や、羊羹のしっとりとした甘さに、いつも感動していました。「家で『売茶翁』の和菓子を食べると、仙台の四季を感じることができる」と、彼女はよく話していました。

彼女にとって、「売茶翁」は単なる和菓子屋ではありませんでした。そこは、仙台での新しい生活の中で、京都とのつながりを感じられる場所であり、また日本の伝統を感じることができる特別な場所でした。「売茶翁」の和菓子は、彼女が仙台での生活に馴染む過程で、心の支えとなっていたのです。

彼女が卒業を迎え、仙台を離れる日が近づいてきたとき、「売茶翁」で過ごした時間が彼女にとってどれほど大切なものだったのかを改めて感じました。「仙台を離れる前に、もう一度『売茶翁』に行って、みちのくせんべいや塩麿をたくさん買って帰りたい」と彼女は言いました。それは、彼女にとっての仙台での思い出を、形として持ち帰りたいという強い願いだったのです。

「売茶翁」の和菓子は、彼女にとって仙台での生活の象徴であり、また新たな故郷の味として、彼女の人生に深い影響を与え続けることでしょう。友人が仙台を離れても、「売茶翁」の和菓子は、彼女にとっての仙台の思い出として、ずっと心に残り続けるに違いありません。

こうして、「売茶翁」の和菓子を通じて、彼女と私の友情はさらに深まり、仙台という地での思い出が刻まれていきました。「売茶翁」は、単なる和菓子屋を超えて、私たちにとって、そして彼女にとっても、特別な存在であり続けるのです。

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投稿者プロフィール

東叡庵
東叡庵煎茶講師/日本文化PRマーケター
宮城県出身。
仙台の大学卒業後、500年の歴史を誇る老舗和菓子屋に入社。京都にて文人趣味や煎茶道、生け花、民俗画を学び、日本文化への造詣を深める。和菓子屋での経験を活かし、その後、日本文化専門のマーケティング会社でブランディングとPRマーケティングに従事。現在はフリーランスの茶人として活動しながら、日本文化のPRサポートや「みんなの日本茶サロン」を主宰。伝統と現代を結びつける活動を通じて、日本文化の魅力を広めている。みんなの日本茶サロン編集長。