唐菓子とは?読み方や意味、八種唐菓子、京都の京菓子「餢飳(ぶと)」「清浄歓喜団」など紹介!
唐菓子とは?
「唐菓子(とうがし)」は、奈良時代から平安時代にかけて、唐(現在の中国)や西域(シルクロードを経て伝わった地域)の影響を受けて日本に伝来した菓子の総称です。読み方は「とうがし」で、名前の通り中国を起源とする菓子を指しますが、当時の日本ではこれらが「唐」文化として伝わり、神事や宮廷の儀式で使われていました。
唐菓子は、現代の日本菓子(和菓子)とは異なり、主に米粉や小麦粉を使い、油で揚げたものが多いです。保存性が高く、神仏に供える「供物」としても用いられていたため、その形状や作り方には厳格な儀式的意味が込められていました。
八種唐菓子とは?
八種唐菓子(はっしゅとうがし)とは、平安時代の「延喜式」に記載された代表的な8種類の唐菓子のことを指します。これらは宮廷の儀式や神事で特別に用いられ、現代でもその形を受け継いでいるものが少数ながら存在します。
- 清浄歓喜団(しょうじょうかんきだん)
- ぶと
- 索餅(さくべい)
- 餳(あめ)
- 鱐魚餅(じょくぎょへい)
- 搗餅(つきもち)
- 蘇餅(そべい)
- 餅餤(べいだん)
これらの唐菓子は、油で揚げる、餅や団子状にするなど、現代の日本の和菓子とは異なる調理法や形態を持っています。
代表的な唐菓子「餢飳(ぶと)」とは?
「餢飳(ぶと)」は、八種唐菓子の一つで、現在でも伝わる非常に珍しい唐菓子の一種です。材料には小麦粉やもち米が使われ、油で揚げた後に乾燥させることで保存性を高めています。かつては儀式や神事の供物として扱われ、武家社会でも長寿を祈願して用いられました。
ぶとはその硬さや形状から、特別な食べ物として扱われてきましたが、現代ではそのような食文化が薄れているため、見る機会が少なくなっています。しかし、一部の神社や京都の老舗などでは、ぶとを再現し、祭事や特別な行事で使うことがあります。
「清浄歓喜団」とは?
「清浄歓喜団(しょうじょうかんきだん)」は、唐菓子の中でも特に有名なもので、奈良時代から平安時代にかけて中国から伝わったとされています。形は球状で、中には蜜や香り高いスパイス(例えば桂皮や胡椒)が練り込まれており、外側は小麦粉の皮で包まれた後、油で揚げられます。
この菓子は、その独特な香りと見た目から、かつては仏教の儀式や貴族社会で非常に神聖なものとされました。名前の「清浄歓喜」も、仏教に由来しており、清らかな心で喜びを享受するという意味が込められています。京都の一部の老舗では、今でもこの唐菓子を再現し、販売しています。
京都の京菓子と唐菓子の関係
京都は、唐菓子文化が色濃く残る場所として知られており、多くの和菓子が唐菓子の影響を受けています。特に、京菓子の繊細なデザインや食感は、唐の時代から伝わった技法や美学に根ざしていると言われています。
例えば、「鍵善良房」などの京都の老舗では、伝統的な京菓子の一部に唐菓子の製法やデザインを取り入れており、現代でもその風味や技術が息づいています。また、「清浄歓喜団」や「ぶと」などの唐菓子を再現し、販売する老舗も存在します。
唐菓子の意味と現代の位置づけ
唐菓子は、単なるお菓子ではなく、神聖な供物や儀式の一部としての役割を持っていました。そのため、形状や材料、作り方には深い意味が込められています。例えば、丸い形は永遠の命や輪廻を象徴し、揚げるという調理法も、神への供物としての清浄さを表していました。
現代では、唐菓子はあまり日常的に食されることはありませんが、文化財的な価値や伝統工芸品としての役割が注目されています。特に、京都や奈良の老舗では、唐菓子の製法を守りながら現代に受け継ぎ、特別な機会や祭事で提供しています。
まとめ
唐菓子(とうがし)は、奈良時代から平安時代にかけて中国から伝来した菓子で、神事や宮廷儀式で使用されてきました。代表的な唐菓子には、「清浄歓喜団」や「ぶと」があり、これらは京都や奈良の一部の老舗で今でも手に入ることがあります。唐菓子は、現代においてもその歴史的・文化的価値が評価され、伝統的な京菓子や供物としてその存在を守り続けています。
投稿者プロフィール
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宮城県出身。
仙台の大学卒業後、500年の歴史を誇る老舗和菓子屋に入社。京都にて文人趣味や煎茶道、生け花、民俗画を学び、日本文化への造詣を深める。和菓子屋での経験を活かし、その後、日本文化専門のマーケティング会社でブランディングとPRマーケティングに従事。現在はフリーランスの茶人として活動しながら、日本文化のPRサポートや「みんなの日本茶サロン」を主宰。伝統と現代を結びつける活動を通じて、日本文化の魅力を広めている。みんなの日本茶サロン編集長。
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