吉野葛と葛粉の違いとは?奈良の老舗やレシピ、効能や原料となる植物も紹介!

奈良の吉野葛と葛粉の違いまとめ

吉野葛と葛粉の違いとは?

「吉野葛(よしのくず)」「葛粉(くずこ)」は、いずれも「葛(くず)」という植物から作られる澱粉を指しますが、製法や品質に違いがあります。

  1. 吉野葛
    吉野葛は、奈良県の吉野地方で作られる最高級の葛粉で、純度が非常に高いことが特徴です。原料である「クズ(葛根)」の根から取れる澱粉を、伝統的な製法で何度も精製して作られます。この工程には時間と手間がかかり、結果として他の葛粉よりも透明感があり、滑らかな食感が楽しめます。
  2. 葛粉
    一般的な葛粉は、吉野葛に比べて製法が簡略化されている場合が多く、純度が低いことがあります。また、商品によっては、タピオカ澱粉や馬鈴薯澱粉などを混ぜて作られたものも「葛粉」として販売されています。そのため、必ずしも純粋な「葛粉」ではない場合もあります。

まとめ:吉野葛と葛粉の違い

  • 吉野葛:奈良県吉野地方で伝統的な製法で作られ、純度が高く滑らか。
  • 葛粉:製造法が簡略化されることがあり、純度が低い場合もある。

奈良の老舗

奈良県吉野地方は、葛の名産地として古くから知られ、今でも伝統的な製法で吉野葛を作る老舗がいくつか存在します。中でも特に有名なのが、以下の老舗です。

1. 森野吉野葛本舗

森野吉野葛本舗は、創業400年以上の歴史を誇る老舗です。吉野の地で採れる上質な葛根から作られる吉野葛は、澱粉の純度が非常に高く、和菓子や料理に使われることが多いです。特に、伝統的な製法で作られる葛は、他にはない透明感と美しい仕上がりが特徴です。

2. 井上天極堂

井上天極堂は、創業天保元年(1830年)の歴史を持つ老舗です。吉野葛を中心に、さまざまな葛製品を取り扱っており、食用はもちろん、薬用の葛製品も手がけています。伝統を大切にしながらも、現代的な製品展開も行っており、多くのファンに愛されています。

吉野葛のレシピ

吉野葛を使った料理やデザートは、さまざまなシーンで楽しめます。以下に、家庭でも簡単にできる吉野葛を使ったレシピを紹介します。

吉野葛を使った葛餅の作り方

材料(4人分)

  • 吉野葛粉:50g
  • 水:250ml
  • 砂糖:50g
  • 黒蜜やきなこ(お好みで)

作り方

  1. 鍋に吉野葛粉と水を入れ、よく混ぜ合わせます。
  2. 中火にかけ、砂糖を加えながら絶えず混ぜ続けます。
  3. 透明感が出てきたら火を止め、バットに流し込みます。
  4. 粗熱が取れたら冷蔵庫で冷やし固め、適当な大きさに切ります。
  5. 黒蜜やきなこをかけてお召し上がりください。

このレシピでは、吉野葛の純度の高さが際立ち、滑らかで口当たりの良い葛餅が楽しめます。

葛の効能

「葛」は古くから薬草として利用されてきました。特に、葛の根から取れる「葛根湯」は、風邪の初期症状や冷え性、肩こりなどに効くとされています。また、葛は消化が良く、体に優しい成分が含まれているため、胃腸が弱っているときでも食べやすいです。

主な効能:
  • 風邪の初期症状の緩和:葛根湯として有名。
  • 冷え性の改善:体を温める効果がある。
  • 消化促進:消化が良く、胃腸に優しい。
  • 美肌効果:女性に人気のスーパーフードとしても注目されている。

原料となる植物

吉野葛や葛粉の原料は、「クズ(葛根)」という植物です。クズはマメ科の多年草で、日本全国に自生しています。特に奈良県の吉野地方では、質の良いクズが多く採れることで有名です。

クズの特徴

  • 学名:Pueraria lobata
  • 自生地:日本、東アジア
  • 利用部分:根(葛根)、つる

クズの根は太く、澱粉が豊富に含まれています。これを精製して作られるのが、吉野葛や葛粉です。クズは土壌改良にも使われる強い植物で、古くから日本の生活に深く根付いています。

まとめ

吉野葛と葛粉の違いは、主に製法と純度にあります。吉野葛は奈良県吉野地方の伝統的な製法で作られた高純度な澱粉であり、滑らかな食感と透明感が特徴です。奈良の老舗「森野吉野葛本舗」や「井上天極堂」などが、吉野葛を手がけ、その品質の高さで知られています。

吉野葛は、料理や和菓子に使われるだけでなく、薬用効果もあるとされ、風邪の緩和や消化促進、美肌効果が期待されています。日本の伝統的な食材「葛」を、現代の食卓にも取り入れて、その健康効果を実感してみてください。

投稿者プロフィール

東叡庵
東叡庵煎茶道講師/日本文化PRマーケター
宮城県出身。
仙台の大学卒業後、500年の歴史を誇る老舗和菓子屋に入社。京都にて文人趣味や煎茶道、生け花、民俗画を学び、日本文化への造詣を深める。和菓子屋での経験を活かし、その後、日本文化専門のマーケティング会社でブランディングとPRマーケティングに従事。現在はフリーランスの茶人として活動しながら、日本文化のPRサポートや「みんなの日本茶サロン」を主宰。伝統と現代を結びつける活動を通じて、日本文化の魅力を広めている。みんなの日本茶サロン編集長。