常滑焼の地訪問記

常滑焼発祥の地である常滑市をご紹介

常滑焼の産地である愛知県常滑市に行ってきたましたので、いくつか常滑焼スポットをご紹介したいと思います。

常滑焼を楽しむならここ!「やきもの散歩道」

常滑焼について知見を深めるため、愛知県常滑市にやってきました。

名古屋鉄道「常滑駅」からほど近く、常滑焼をモチーフにした”やきもの散歩道”があります。

こちらでは、常滑焼の窯元めぐりができることはもちろん、展示販売する施設があったり、昔つかっていた登り窯の後があったり、常滑焼を制作する道具が展示されている資料館があったり、ここだけ常滑焼の奥深い世界が垣間見れるエリアになっています。

ちなみに”やきもの散歩道”の目印はこちらの巨大招き猫”とこにゃん”です。

見た目はかわいい招き猫ですが、白は「福を招く」、黒は「病を防ぐ」、金は「金運を招く」、商売繁盛の縁起物で、右手の猫手で私のような観光客も招き寄せられるように撮影してしました。

 じつは愛知県常滑市は“招き猫”の街として知られて、常滑焼での招き猫生産量は日本一なんです。

やきもの散歩道の基本情報

やきもの散歩道の住所や営業時間は下記の通りです。

  • 住所:〒479-0836 愛知県常滑市栄町
  • 営業時間:各施設や店舗により異なる。
  • アクセス:名古屋鉄道「常滑駅」から徒歩7分ほど

常滑焼に囲まれる日本唯一の空間!やきもの散歩道「土管坂」

やきもの散歩道を代表する風景である”土管坂”は、赤茶色の陶磁器に囲まれた、写真映えスポットです。

明治期の土管と昭和初期の、焼酎瓶(しょうちゅうびん)が左右の壁面をびっしりおおい、坂道には「ケサワ」という土管の焼成時に使用した焼台の廃材を敷き詰め、滑らず歩きやすいように工夫されています。

”けさわ”をアップで見てみましょう。

赤茶色の”けさわ”が、弓状に弧を描くような形で敷き詰まられています。

焼き締めてつくった土器なので吸水性が高く、滑りにくいです。

常滑市は焼き物の町

常滑市は焼き物の町です。

やきもの散歩道を進んでいくと、レンガ造りのお家や煙突など、常滑市ならではの景色がみれます。

明治時代から昭和時代にかけて最盛期を誇った常滑焼、町のいたるところに窯元ができて、市内で焼き物の生産が盛んだったころの名残だそうです。「美しい日本の歴史的風土準100選」平成19年3月選定されて、古き良き常滑の風景が残されています。

常滑焼の登り窯を見る!

さらに進むと、同じく耐火煉瓦(たいかれんが)造りの、登り窯がありました。

登り窯とは、陶磁器等を大量に焼成するために、かまぼこ状の炉を何個も並べたものを各間に仕切り、坂の斜面地形を利用し、熱が上に登ろうとする重力による燃焼ガスの対流を利用する施設です。

1887年(明治20年)頃に築かれた窯で、1974年(昭和49年)まで使用されいて、日本で現存する登窯としては最大級だそうです。

この登り窯の前に移動すると、焚き口が見えます。

焚き口とは、登り窯室内の焼き物を焼成するための薪や割木などの燃料をくべる場所です。

登り窯の焚き口は1個しかないものだと思っていたんですが、なんと焚口が見えるだけも6個もあり、大量に焼き物をつくっていたことがわかります。

圧巻の景色でした。

この常滑は中部セントレア空港があるエリアで、つまり海沿いです。

生産してすぐ船で輸出できる地理的条件が良かったのでしょうか。

すこし登り窯の中に入ってみましょう。

展示用に片づけられた窯ですが、1000度以上の超高温にさらされる窯内は、空気の逃げ場がないぐらいみっちり耐火レンガで覆われています。

窯の中には資料展示で、さきほどの”土管坂”の壁面につかわれていた焼酎瓶が展示されていました。

常滑の土は粘度が高く、甕や瓶など大きな焼き物をつくるのに適しています。

この焼酎瓶も、ここ常滑で生産されて全国に渡っていったのしょうか。

登り窯を前に、常滑市名物グルメの”常滑牛乳”を頂戴しました。

かつての町中火を焚き、毎日のように陶磁器を輸出し、町中に活気にあふれていたころの様子をなんとなく想像しました。

こういった想像しやすい歴史的な遺産を見ると、物思いにふけってしまいます。これも旅の醍醐味でしょうか。

さらに奥に進むと、窯元や常滑焼作家さんが固まっているエリアがあります。

昔ながらの木造瓦屋根の日本家屋が並ぶこの通りは、レトロ感というか、小京都のような雰囲気です。

常滑焼を買うならここ!「常滑市陶磁器会館」

常滑市陶磁器会館(とこなめしとうじきかいかん)は、常滑焼エリアの窯元作品を展示販売している施設です。

陶磁器会館の販売商品は、千年の歴史を継承している常滑焼の伝統技法で作られている急須を始め食器類、招き猫等々の商品が置かれています。

常滑焼の窯元は、このエリアに点在しているので、歩き疲れた方は、こちらで購入するのが一番効率がよさそうです。

さすが日本六古窯の1つ、常滑焼です。ここまででかなりボリュームになりました。常滑焼をもって詳しく知りたい方へおススメのスポットをご紹介します。

常滑市陶磁器会館の基本情報

常滑市陶磁器会館のの住所や問い合わせは下記の通りです。

  • 住所:〒479-0836 愛知県常滑市栄町3−8
  • 問合せ先:0569-35-2033
  • 開館時間:9:00〜17:00
  • アクセス:名古屋鉄道「常滑駅」から徒歩約10分

INAXライブミュージアム

総合住宅設備・建材メーカーのLIXILが運営する、土とやきものの魅力に触れる体験・体感型ミュージアムです。

INAXは、愛知県常滑市発祥で、 日本の企業グループ・LIXILグループの株式会社LIXILが展開する衛生陶器・住宅設備機器・建材のブランド名です。

こちらの施設では、世界の装飾タイルを展示する「世界のタイル博物館」、土管やタイルを焼いた大正時代の窯と煙突を保存・公開するとともに美しく装飾された明治~昭和初期の古便器を展示する「窯のある広場・資料館」、日本を代表するテラコッタコレクションを間近に見られる「建築陶器のはじまり館」など、6つの館で構成されています。

▽「窯のある広場・資料館」の様子

▽「陶楽工房」の様子

絵付けや粘土ロクロ体験、現在の陶磁器最先端企業の取り組みが見れたりと、焼き物好きにはたまらないスポットですね。

また施設全体が綺麗なので、観光スポットとしてもおススメです。

INAXライブミュージアムの基本情報

INAXライブミュージアムの開館時間や住所は下記の通りです。

住所:〒479-0823 愛知県常滑市奥栄町1丁目130

開館時間:10時~17時(16時30分最終入場)※毎週水曜定休

問合せ先:056-934-8282

アクセス:名鉄線「常滑駅」より自動車で約6分、名鉄線「常滑駅」または中部国際空港より知多バス「知多半田駅」行き「INAXライブミュージアム前」下車徒歩2分

とこなめ陶の森|資料館

「とこなめ陶の森」は、愛知県の工芸品である”常滑焼”に関する資料館・陶芸研究所(とうげいけんきゅうじょ)・研修工房の3施設の総称です。

常設展示室では、国指定重要有形民俗文化財である「常滑の陶器の生産用具及び製品」1,655点の内から約300点を選んで、生産用具(製土、成形、乾燥、施釉、窯入れ、焼成、窯出し、運搬の各工程)と製品をわかりやすく展示しております。

とこなめ陶の森|資料館の基本情報

とこなめ陶の森|資料館の住所や問い合わせは下記の通りです。

  • 住所:〒479-0821愛知県常滑市瀬木町4丁目203番地
  • 問合せ先:TEL:0569-34-5290 FAX:0569-34-6979 mail:tounomori@city.tokoname.lg.jp
  • 開館時間: 9:00〜17:00
  • 休館日: 月曜日(祝日の場合翌日)・年末年始
  • 入場料: 無料
  • アクセス:名鉄常滑駅から知多半田駅行きバス「奥栄町」下車、徒歩約7分

とこなめ陶の森陶芸研究所

陶芸研究所は、平安時代末期から現代までの常滑焼などを展示しています。

常滑陶芸の興隆を願った常滑市初代市長で伊奈製陶(現LIXIL)の故伊奈長三郎氏が常滑陶芸の興隆を念願して寄付をおこない開設されました。

若手陶芸家の育成なども行われており、定期的に現代の常滑焼を見ることができます。

とこなめ陶の森陶芸研究所の基本情報

とこなめ陶の森陶芸研究所の住所や問い合わせは下記の通りです。

  • 住所:〒479-0822愛知県常滑市奥条7丁目22番地
  • 問合せ先:TEL0569-35-3970 FAX:0569-35-3970
  • 開館時間: 9:00〜17:00
  • 休館日: 月曜日(祝日の場合翌日)・年末年始
  • 入場料: 無料
  • アクセス:名鉄常滑駅からタクシーで約5分、徒歩約30分

投稿者プロフィール

東叡庵
東叡庵煎茶講師/日本文化PRマーケター
宮城県出身。
仙台の大学卒業後、500年の歴史を誇る老舗和菓子屋に入社。京都にて文人趣味や煎茶道、生け花、民俗画を学び、日本文化への造詣を深める。和菓子屋での経験を活かし、その後、日本文化専門のマーケティング会社でブランディングとPRマーケティングに従事。現在はフリーランスの茶人として活動しながら、日本文化のPRサポートや「みんなの日本茶サロン」を主宰。伝統と現代を結びつける活動を通じて、日本文化の魅力を広めている。みんなの日本茶サロン編集長。