
玉露(ぎょくろ)は、日本の伝統的な高級緑茶で、その豊かな風味と甘み、鮮やかな緑色が特徴の日本茶です。
本記事では、玉露の歴史、製造過程、味わいの特徴、美味しい淹れ方と温度、煎茶・抹茶との違い、英語での言い方、そして適切な飲み方について詳しく解説します。
参考:日本茶業中央会「緑茶の表示基準」、農林水産省「玉露(ぎょくろ) かぶせ茶(かぶせちゃ) てん茶 煎茶(せんちゃ)」
玉露の歴史
玉露の起源は、江戸時代初期にさかのぼります。
日本の茶文化が発展する中で、京都府を中心に玉露の栽培が始まりました。
江戸時代には、玉露は日本の皇室や大名たちに献上されることが多く、その貴族的な地位を確立しました。
近年では、玉露は世界的にも評価されるようになり、国際的な展示会などで高く評価されています。
玉露の由来
玉露の名前の由来は、天保6年(1835年)に山本山の六代目山本嘉兵衛が宇治郷小倉村の茶製造場で偶然発見したものです。
乾燥中に手作業でかき混ぜた茶葉が小さな団形になり、気品ある風味と鮮やかな色合いの甘露のような茶が得られたため、「玉露」と命名されました。
その後、この茶は江戸で広まり、最上品として愛用されるようになりました。
また、京都府宇治市には「玉露製茶発祥の碑」が建てられています。
参考:京都府「京都山城宇治茶の郷めぐり」
玉露製茶発祥之碑
所在地:〒611-0042 京都府宇治市小倉町寺内
玉露の健康効果
玉露には、以下のような健康効果があります:
・抗酸化作用:玉露に含まれるカテキンには、強い抗酸化作用があり、体内の活性酸素を減少させる効果があります。
・リラックス効果:玉露に含まれるテアニンには、リラックス効果があり、ストレスを軽減する効果があります。
・免疫力向上:玉露には、免疫力を高める成分が含まれており、健康維持に役立ちます。
参考:宇治田原製茶場
玉露を英語で
玉露は英語で「gyokuro」と言います。これは日本語の発音そのままで使用されることが多いです
玉露の製造過程
玉露の製造過程は非常に精密で、いくつかの重要なステップがあります。以下にその主要な工程を詳しく説明します。
1. 日光遮断
玉露の特徴的な甘みとまろやかさは、茶葉が日光に当たるのを防ぐことから始まります。収穫の約2週間前に、茶畑に遮光ネットを張り、約90%の光を遮断します。この方法により、茶葉に含まれるアミノ酸が増加し、旨味成分が豊富になります。
2. 収穫
遮光処理を行った後、茶葉は非常に手間をかけて収穫されます。通常、最も若くて柔らかい新芽のみを手摘みで収穫します。この段階で、玉露の品質が大きく左右されるため、非常に慎重な作業が求められます。
3. 蒸し
収穫した茶葉は、すぐに蒸されます。蒸し処理は、茶葉の酸化を防ぎ、新鮮な風味を保つために重要です。玉露の場合、蒸し時間は短めに設定されることが多く、約1〜2分が一般的です。
4. 乾燥と揉み込み
蒸した茶葉は、その後、乾燥させられます。乾燥には「火入れ」と呼ばれる方法が使われます。さらに、茶葉は揉み込みを行い、細かく裂けた部分を取り除きます。これにより、玉露特有の滑らかな口当たりが生まれます。
5. 精製
最後に、乾燥された茶葉は選別され、大きさや形に応じて分類されます。高品質な玉露は、選別工程でさらに厳しくチェックされ、最終的な品質が決まります。
玉露の味わいと特徴
玉露は、その味わいと香りが非常に特別で、以下のような特徴があります。
1. 甘みとまろやかさ
玉露の最大の特徴は、その甘みとまろやかさです。遮光処理により、アミノ酸が豊富に含まれており、甘みが際立ちます。口に含むと、まろやかな旨味が広がります。
2. 鮮やかな緑色
玉露の色合いは、鮮やかな緑色が特徴です。蒸し処理と乾燥過程で色素が保持され、非常に美しい色合いが楽しめます。
3. 繊細な香り
玉露の香りは非常に繊細で、草のような爽やかな香りと、甘い香ばしさが感じられます。この香りは、煎茶やほかの緑茶にはない独自の特徴です。
玉露の美味しい淹れ方と温度
玉露を美味しく飲むためには、いくつかのポイントがあります。
1. 水温
玉露の抽出には、軟水で50〜60℃の低めの水温が最適です。
高すぎる温度では、苦味や渋味が出てしまうため、注意が必要です。
2. 抽出時間
抽出時間は茶葉によりますが約2分が目安です。
時間が長すぎると、苦味が強くなり、短すぎると風味が十分に引き出されません。
3. 茶葉の量
玉露を淹れる際の茶葉の量は、約2〜3グラムが一般的です。これにより、甘みとまろやかさがしっかりと感じられます。
玉露の種類
玉露にはいくつかの種類がありますが、主に以下のものが知られています:
「高級玉露」:非常に高品質な玉露で、濃厚な旨味と甘みが特徴です。
「中級玉露」:品質は高いものの、高級玉露よりも手頃で、バランスの取れた味わいです。
「低級玉露」:一般的に流通している玉露で、価格が抑えられたものです。
玉露の現代的な利用
玉露はそのまま飲むだけでなく、様々な料理やスイーツに利用されています。
例えば、玉露を使ったアイスクリームやケーキ、さらには玉露風味の調味料など、多様な使い方があります。
また、玉露は贈り物や特別な場面での茶としても人気です。その高級感と風味は、特別な瞬間をさらに引き立てます。
まとめ
玉露は、その甘みとまろやかさ、鮮やかな緑色で非常に人気のある高級茶です。
歴史的背景から製造過程、現代的な利用まで、多くの側面でその魅力が発揮されています。
正しい方法で淹れることで、玉露の本来の美味しさを楽しむことができます。
日本茶についてさらに詳細に知りたい方はこちらの記事をご覧ください。
投稿者プロフィール

- 日本茶講師/和文化PR
- 大学卒業後、老舗和菓子屋に入社。京都にて茶道、生け花、日本画を学び、日本文化への造詣を深める。和菓子屋での経験を活かし、その後、日本文化専門のマーケティング会社に勤務。現在はフリーランスの茶人として活動しながら、伝統と現代を結びつける活動を通じて、日本文化の魅力を広めている。
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