煎茶道具「茶敷」「茶具褥」

煎茶席に置いて用いられる煎茶道具「茶具褥」についてご紹介させていただきます

※参考:煎茶全書 主婦の友社 昭和49年

名称や扱い方は、流派や先生によって異なる可能性があります。

煎茶道具「茶具褥」(ちゃぐじょく)

煎茶道具「茶具褥」(ちゃぐじょく)は、煎茶席において道具飾りの下に敷く布のことです。

褥(ジョク、しとね)とは、古代のやわらかい敷物(しきもの)の呼称です。

別に、茶具敷(ちゃぐじき)、煎茶の敷物(しきもの)、褥(じょく)などと言われ、流派によってさまざまな呼び方があります。

黄檗宗(おうばくしゅう)の僧侶が用いる「座具」(ざぐ:座るときに敷くもの、ござ、布団の類)がベースになっていると言われています。

煎茶道の茶席において、手前座(てまえざ)の下に敷くことにより、直接お道具を畳に置くことを防ぎ、かつ畳が傷つかないようにする役割があります。

煎茶道具「茶具褥」の材質や形とは

大きさはさまざまで、これも流派によって変わってきますが、横は畳(たたみ)の幅よりやや短かく、縦横60センチ以上のものがほとんどです。

先述したように「座具」がベースとなっているため、座具を4つに折った大きさで、1畳の3分の1ぐらいの長方形にしたものが、昔よく使われていた本式の茶具褥の大きさになります。

素材は木綿(もめん)・麻(あさ)などいろいろあり、色もインディゴブルーやグレー、裂(きれ)のような金糸(きんし)を用いた柄物(がらもの)があり、自分の好みの色を選べます。お道具との色合いを調整しながら、その時々で変えていきます。

煎茶道具「茶具褥」の画像はこちら

こちらの画像の茶具褥は、金糸を用いて、大きな花や蔦(つた)、瑞雲(ずいうん)を表しています。
このように道具の下に敷きます。

煎茶道具には、木材や陶器など、ザラザラした表面のものもあるため、畳や机を傷つけないためにも必要となってきます。

茶具褥の選び方と管理方法

茶具褥を選ぶ際には、お道具の色合いや使用する場所の雰囲気に合わせることが重要です。また、素材によっても使用感や耐久性が異なるため、自分の使用スタイルに合ったものを選びましょう。

使用後はしっかりと乾燥させ、湿気や直射日光を避けて保管することが大切です。定期的に洗濯し、清潔に保つことで、長く使い続けることができます。

投稿者プロフィール

東叡庵
東叡庵煎茶講師/日本文化PRマーケター
宮城県出身。
仙台の大学卒業後、500年の歴史を誇る老舗和菓子屋に入社。京都にて文人趣味や煎茶道、生け花、民俗画を学び、日本文化への造詣を深める。和菓子屋での経験を活かし、その後、日本文化専門のマーケティング会社でブランディングとPRマーケティングに従事。現在はフリーランスの茶人として活動しながら、日本文化のPRサポートや「みんなの日本茶サロン」を主宰。伝統と現代を結びつける活動を通じて、日本文化の魅力を広めている。みんなの日本茶サロン編集長。