杜甫の「飲中八仙歌」(いんちゅうはっせんか)は、唐代の詩人たちの中でも特に酒を愛する「八仙」と呼ばれる8人の詩人たちを題材にした詩です。この詩は、杜甫が彼ら酒豪たちの酒に対する情熱や性格、逸話をユーモアたっぷりに描いた作品で、軽妙かつ親しみやすい内容となっています。
八仙人との違い
「八仙」というのは、道教の神話に登場する八人の仙人とは異なり、杜甫が親交のあった詩人たちを指しています。「飲中八仙」とは、彼らが共に集まり酒を楽しんだことから生まれた呼び名で、それぞれが酒豪として知られていました。
「飲中八仙歌」の内容と登場人物
この詩では、杜甫が八人の酒豪を一人ずつ紹介し、その飲酒の様子や彼らの個性を生き生きと描いています。以下は、その八仙に含まれる主な詩人たちです。
- 何遜(か そん) – 彼は酒に酔ってもいつも冷静な態度を保つ酒豪として描かれています。
- 崔宗之(さい そうし) – 彼はひたすら酒を飲み続け、飲み終わっても次の酒を求める人物として紹介されています。
- 李白(り はく) – 最も有名な人物で、唐代の偉大な詩人。「詩仙」と称される李白は、酒を飲んで詩を作ることを得意とし、酔ってもなお天才的な詩を生み出したとされています。
- 張旭(ちょう きょく) – 彼は書道の達人であり、酔った状態で筆をふるい、豪放な筆遣いを見せる人物として描かれています。
- 焦遂(しょう すい) – 酒を飲むことで、彼の性格がより自由奔放になる様子が表現されています。
この詩は、各詩人の酒に対する態度や飲み方をコミカルに描きながら、杜甫が彼らとともに過ごした楽しい時間や友情を感じさせます。
「飲中八仙歌」の特徴
杜甫の他の詩とは異なり、「飲中八仙歌」は軽妙でユーモラスな詩です。杜甫は普段、社会的な問題や自分の苦しみを深く考えるシリアスな詩を書いていましたが、この詩は彼の遊び心やユーモアのセンスを垣間見ることができる作品です。酒席での友情や詩人たちの気ままな生活が伝わってくるため、現代の読者にも楽しんで読まれています。
飲中八仙と飲酒文化
唐代は、詩人や文化人が集まって酒を飲み、詩を作ることが一般的でした。飲酒は詩作のインスピレーションを呼び起こす手段であり、詩人たちは酒を愛し、それを題材に多くの詩を残しました。杜甫の「飲中八仙歌」は、そうした文化を反映した一例であり、詩人たちの個性を鮮やかに描写しています。
「飲中八仙歌」のまとめ
「飲中八仙歌」は、杜甫が当時の友人たちの酒豪ぶりをユーモラスに描いた詩で、唐代の詩人たちの酒好きな一面がよく伝わってきます。特に、李白や張旭などの著名な詩人たちが登場し、それぞれがどのように酒を楽しんでいたのかを知ることができる作品です。杜甫のシリアスな詩風とは異なり、気軽に読める詩でありながら、彼の友情や文化的な背景を感じさせる興味深い一作となっています。
投稿者プロフィール

- 日本茶講師/和文化PR
- 大学卒業後、老舗和菓子屋に入社。京都にて茶道、生け花、日本画を学び、日本文化への造詣を深める。和菓子屋での経験を活かし、その後、日本文化専門のマーケティング会社に勤務。現在はフリーランスの茶人として活動しながら、伝統と現代を結びつける活動を通じて、日本文化の魅力を広めている。
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