華道(生け花)とは?歴史や基本、生け花との違い、京都華道体験スポットを紹介

華道(生け花)について、歴史や華道の基本、生け花との違いを解説

こちらの記事では、華道(生け花)について歴史や特徴、生け花の流派や京都でいけばな体験ができる場所をまとめました。

この記事の執筆者は、みんなの日本茶サロン講師の東叡山です。

以下のような方にお勧めの記事です。

  • 華道(生け花)の概要や歴史について知りたい方
  • 華道(生け花)の流派について知りたい方
  • 京都で華道(生け花)体験ができる場所について

華道(生け花)とは

華道(生け花)とは、四季折々の草木や花卉(かき)を、野に咲いていた時より美しく、祈りを込めながら生け、鑑賞する芸道です。

茶道香道(こうどう)などと共に、日本を代表する伝統芸道の1つです。

華道(生け花)とフラワーアレンジメントはまったく異なり、花卉をいける際には、日本的な立ち振る舞いや所作などを重視し、いけ方や花材も日本独自の哲学に基づいており、世界に誇る、日本文化といえます。

参考:「令和2年度 生活文化調査研究事業(華道)報告書」 文化庁地域文化創生本部事務局

華道(生け花)の歴史とは

華道(生け花)の歴史は古く、古代の精霊信仰(せいれいしんこう)の時代まで遡ると言われています。お花になにか特別なものが宿っており、そのエネルギーに何か想いや祈りを込めたり、依代(よりしろ)として神様が宿ると考えられてきました。
今でもお寺や神社に行くと、仏前や神前にお花が供えられているのは、そういった信仰の歴史があるためです。

参考…文化庁「暮らしの文化 リレートーク

華道と生け花の違い

華道と生け花の違いは、精神性と芸術性にあると言われています

華道は、日本における信仰と伝統的な求道精神が、長い年月をかけて生け花と混ざり合い、生まれたのが華道と認識されています。
京都市の通りの名前にもなっている頂法寺六角堂(ちょうほうじろっかくどう)。聖徳太子(しょうとくたいし)や遣隋使・小野妹子(おののいもこ)の時代から続く格式高い寺院ですが、ここから華道がはじまりました。

「花卉の命と向き合う」ことに美意識があると華道では言います。摘んでしまってあと少ししか生きれない花卉を、自然に咲いていた時より美しく、人々の祈りのメタファーである生け花をより美しくいける。仏教と合流した生け花が、より求道的な精神と混ざり、”命の美しさ”と向き合う「華道」という芸道になりました。

また生け花は、実際に花をいける行為や作品そのものを指す言葉。技術的な面にフォーカスしています。

どちらが良いなどはなく、華道・生け花それぞれに魅力があります。

有名な華道家

有名な華道家として名前が挙がるのは、テレビでの露出の高い假屋崎省吾さんがよく言われます。

ほかには映画にもなった初代の池坊専好さんが有名です。

華道家の詳細情報は、関連記事をご覧ください。

華道の道具

華道では、花鋏剣山花器が必要です。

華道道具の詳細は下記の関連記事をご覧ください。

華道(生け花)の生け方の種類

華道・いけ花の種類は主に3種類あるといわれています。

その3種類とは、自由花、立花、生花(しょうか)です。

ここでは、その3つのいけ方について簡単に説明させていただきます。

初心者でも楽しめる華道・生け花の生け方について知りたい方はこちらの記事をご覧ください。

華道の基本的な生け方「自由花(じゆうか)」

華道(生け花)のいけ方で、今までの“床飾り(とこかざり)”を想定していたものではなく、立花や生花のように約束事や決まりがないのが自由花の特徴です。
明治以降、西洋の文化が入り、建築様式が大きく変わりました。床の間がなくなる家庭も増えたり、昭和の後期になると畳も段々と需要が減っていき、和室がないご家庭も今では珍しくないです。
そんな時におすすめしたい生け方です。

華道の基本的な生け方「立花(りっか)」

華道(生け花)の型の1つである立花(りっか)とは、花瓶に花卉を立てて、仏前などに供える生花がベースとなったものです。

室町末期に様式が定まった、いけばなで最初に様式化された花形です。
床飾りや部屋に飾り、正面から眺めて楽しむために、確立されました。

華道の基本的な生け方「生花」(しょうか)

華道(生け花)の型の1つである生花(しょうか)とは、花卉(かき)が野で咲き誇っている美しさや、植物それぞれの個性(こせい:出生美とも言う)を表現するものです。

立花をよりスタイリッシュに、様式をそぎ落としスマートにしたものが生花だといわれています。

華道・生け花は「華道家元池坊」から始まった

華道(生け花)の歴史とは、華道家元池坊(かどういえもといけのぼう)の歴史だと言われています。

まさにその名のその通りで、今では日本全国に様々な華道の流派がありますが、その発祥であるということで、「華道”家元”池坊」という名前になっており、”派”は付きません。

華道家元池坊の歴史は古く、遣隋使の時代から、京都六角堂で仏前供花を続けてきた記録があります。

京都六角堂に訪問した際のレポート記事も合わせてご覧ください。

華道家元池坊の歴史は古く、遣隋使の時代から、京都六角堂で仏前供花を続けてきた記録があります。
聖徳太子がこの地を訪れた際に、池で沐浴(もくよく)しました。その際に自念仏であった観音像がこの地から動かなくなり、その時から歴史が続いているのが六角堂です。

代表的な華道の流派を解説

華道の流派は全国に広がっており、その数は数百に達します。

華道の代表的な流派「華道草月流」と「華道小原流」をご紹介します。

さらに詳しくは華道の流派を知りたい方は、下記の記事をご覧ください。

華道の流派「草月流(そうげつりゅう)」

草月流は1927年に、初代家元である、勅使河原蒼風(てしがわらそうふう)氏が創設したいけばなの流派です。
草月のいけばなは「型」にとらわれることなく、常に新しく、自由にその人の個性を映し出すことが特徴で、いけばなでのパフォーマンスを、戦後始めたことでも有名です。
現在では東京都港区赤坂にある草月会館を中心に、国内外に広くスタディーグループをもち、華道の代表的な流派の1つとなっています。

華道の流派「小原流(おはらりゅう)」

小原流は19世紀末、小原雲心(おはらうんしん)が「盛花」という新形式のいけばなを創始して、近代いけばなの道を開いたことに始まります。 「盛花」は、口の広い器(水盤)に材料を「盛る」ように花を展開させるもので、それまでのいけばなの、いわば線の動きを主にした構成にくらべ、面的な広がりを強調したところに特徴があります。今ではおなじみの水盤と剣山を使ういけばなは、小原流が始めたものです。

華道教室の選び方

全国にはカルチャーセンターから個人宅まで沢山の華道教室があります。

華道教室を選ぶには、華道教室ごとの費用や場所、アクセス、講座内容を事前に調べないといけません。

華道教室を選ぶ段階の方は、下記の記事も合わせてご覧ください。

華道体験について

華道発祥の地である京都で行える華道体験スポット「池坊生け花訪問者向けトライアルレッスン」と「未生流笹岡」家元邸内についてご紹介します。

おススメの華道体験スポット「池坊会館」

こちらは言わずものがな、先ほどより説明している華道発祥のである池坊本部でおこなえる華道体験のご案内です。

京都烏丸通りのオフィス街のオアシス、六角堂のすぐ横にある池坊会館では、事前予約を行えば、池坊の華道講師による本格的な華道体験がお手軽に受けれます。

華道・いけばな体験のイベント概要

  • 名称:池坊生け花訪問者向けトライアルレッスン
  • 所在地:〒604-8134 京都府京都市中京区堂之前町248
  • 日時:毎週木曜日13:30〜15  :30 
  • 授業料:お一人様5,000円

おすすめの華道体験スポット「未生流笹岡」家元邸内

大正時代に京都で発祥した未生流の家元邸内にて華道・いけばな体験ができる貴重なアクティビティです。

  • 名称:華道1日体験
  • 体験料:11,000円(税・花材費用込みの価格)
  • 所要時間:60分ほど
  • お問い合わせ先:Tel : 075-781-8023 / Fax : 075-712-6667
  • お問い合わせ窓口 :未生流笹岡 家元事務局
  • 開局時間 : 9:00~17:00 (月、木、金)、13:00~17:00(土)
  • 場所:〒606-8227 京都府京都市左京区田中里ノ前町87

華道・生け花と茶道・煎茶道の関係

華道(生け花)と茶道煎茶道は、とても深い関係にあります。

茶道・煎茶道の茶会は、床の間のある茶室で古来より行われてきました。

床の間とは、畳の床より一段高い板間で、お客様をもてなすための飾り付けを行います。

床の間に配置する床飾りで、伝統的な型として「三具足」(みつぐそく)というものがあります。
三具足(みつぐそく)は、仏具の呼称の一つでもあり、香炉(こうろ)・燭台(しょくだい))・花立(はなたて)各一つずつで一組となる床飾り事です。

床の間中央にある掛軸や仏像に向かって左側に花立、真ん中に香炉、右側に灯立を置きます。

掛け軸や仏像にかぶらないように、この配置になっています。
その名残もあってか、今でも床の間にお花をいけたり、「茶花」(ちゃばな)という茶道独自のいけ方があったりします。

投稿者プロフィール

東叡庵
東叡庵煎茶講師/日本文化PRマーケター
宮城県出身。
仙台の大学卒業後、500年の歴史を誇る老舗和菓子屋に入社。京都にて文人趣味や煎茶道、生け花、民俗画を学び、日本文化への造詣を深める。和菓子屋での経験を活かし、その後、日本文化専門のマーケティング会社でブランディングとPRマーケティングに従事。現在はフリーランスの茶人として活動しながら、日本文化のPRサポートや「みんなの日本茶サロン」を主宰。伝統と現代を結びつける活動を通じて、日本文化の魅力を広めている。みんなの日本茶サロン編集長。