無濾過原酒とは?—その魅力と味わい方を徹底解説

日本酒の世界には多くの専門用語や製造方法があり、その中でも無濾過原酒という言葉は、特に味わい深い酒として知られています。この記事では、無濾過原酒の定義や特徴、製造過程、楽しみ方について解説します。

1. 無濾過原酒とは?

無濾過原酒とは、酒を製造した後に濾過(ろ過)加水を行わず、自然な状態で瓶詰めされた日本酒のことを指します。原酒という言葉は、加水せずにそのままの状態で瓶詰めされた酒を意味し、通常の日本酒よりもアルコール度数が高いのが特徴です。濾過を行わないため、酒の持つ本来の風味やコク、旨味がそのまま楽しめるのが無濾過原酒の魅力です。

濾過とその影響

一般的な日本酒の製造過程では、酒を濾過して雑味や不純物を取り除くことが多いですが、無濾過原酒はこの工程を省略します。濾過を行わないことで、酒の中に残る酵母やその他の成分がそのまま残り、より豊かな風味が感じられます。

2. 無濾過原酒の特徴

無濾過原酒の特徴は、その濃厚で力強い味わいにあります。以下にその主な特徴を詳しく見ていきましょう。

高いアルコール度数

無濾過原酒は、通常の日本酒よりもアルコール度数が高いのが特徴です。アルコール度数は15%から20%程度で、一般的な日本酒の15%前後よりも高いことが多いです。これは加水を行わず、発酵によって自然にアルコール度数が上がるためです。

豊かな香りと深い味わい

無濾過原酒は、濾過を行わないため、酒の成分がそのまま瓶に詰められています。これにより、香りが豊かで、口当たりが濃厚な味わいを持ちます。特に、フルーティーな香りや複雑な味わいが感じられ、飲み応えがあります。

濃厚なコクと甘み

無濾過原酒は、濾過を行わないことで、酒の成分がそのまま残ります。これにより、濃厚なコクや旨味、甘みが感じられます。雑味が少なく、酒本来の風味が強く感じられるため、飲みごたえがあります。

3. 無濾過原酒の製造過程

無濾過原酒の製造過程は、一般的な日本酒と比べて多少異なります。以下にその過程を詳しく説明します。

① 発酵

無濾過原酒の製造では、まず米を蒸し、米麹を加えて糖化させ、酵母を加えて発酵させます。この発酵過程で、アルコールと共に様々な香り成分や旨味成分が生成されます。

② 絞り

発酵が終わったもろみを絞り、酒と固形物に分けます。この工程では、酒の中に含まれる酵母や米の成分を取り除くため、絞りの方法圧力の調整が重要です。無濾過原酒の場合、ここでの絞り方によって酒の風味が大きく変わることがあります。

③ 濾過と加水の省略

無濾過原酒では、絞った後の酒を濾過せず、そのまま瓶詰めします。また、通常の日本酒ではアルコール度数を調整するために加水することが多いですが、無濾過原酒ではこの加水も行いません。これにより、酒の成分がそのまま残り、濃厚な味わいが実現されます。

4. 無濾過原酒の飲み方

無濾過原酒は、その濃厚な風味を楽しむためには適切な飲み方があります。ここでは、無濾過原酒を最大限に楽しむためのポイントをご紹介します。

冷やして飲む

無濾過原酒は、冷やして飲むことでそのフルーティーな香りや濃厚な味わいをより楽しむことができます。冷蔵庫で十分に冷やし、10℃前後の温度で飲むと、香りが引き立ち、口当たりが爽やかになります。

温めて飲む

無濾過原酒は、ぬる燗にして飲むのもおすすめです。40℃から45℃程度に温めることで、酒の持つ甘みや旨味が引き立ち、まろやかな味わいが楽しめます。特に寒い季節や濃厚な料理と合わせる際に、温かい無濾過原酒は非常に相性が良いです。

グラスの選び方

無濾過原酒は、広口のグラスで飲むのが良いです。広口のグラスは香りをよく捕えるため、フルーティーな香りがより感じられます。ワイングラスなどもおすすめですが、あまり深くない形状のグラスを選ぶと香りが広がりやすいです。

食事との相性

無濾過原酒は、その濃厚な味わいから、肉料理や濃い味付けの料理との相性が良いです。例えば、ステーキや焼き鳥濃い味の中華料理などと合わせることで、酒の旨味が料理の味を引き立てます。また、チーズやナッツともよく合います。

5. 無濾過原酒のおすすめ銘柄

無濾過原酒には、日本全国にさまざまな銘柄があります。以下に、特におすすめの銘柄をいくつかご紹介します。

黒龍 純米無濾過原酒

福井県の黒龍酒造が手がける「黒龍 純米無濾過原酒」は、濃厚でコクのある味わいが特徴です。豊かな香りと深い旨味が楽しめる一本で、無濾過原酒の魅力を堪能できます。

久保田 純米無濾過原酒

新潟県の朝日酒造が作る「久保田 純米無濾過原酒」は、フルーティーな香りとクリアな味わいが特徴です。飲みやすさと深いコクを兼ね備えた一品で、多くのファンに愛されています。

田酒 無濾過原酒

青森県の西田酒造が醸す「田酒 無濾過原酒」は、力強い味わいと濃厚なコクが特徴です。バランスの取れた風味で、無濾過原酒の魅力をしっかりと味わうことができます。

6. 無濾過原酒の選び方

無濾過原酒を選ぶ際には、以下のポイントに注目すると良いでしょう。

原酒の種類

無濾過原酒には、さまざまな種類があります。純米無濾過原酒大吟醸無濾過原酒など、使用する米や製造方法によって風味が異なります。自分の好みに合わせた種類を選ぶことが大切です。

製造元の評判

無濾過原酒は、その製造元によって風味が大きく異なります。信頼できる酒造のものを選ぶことで、高品質な無濾過原酒を楽しむことができます。特に評判の良い酒造のものは、安心して楽しめるでしょう。

7.まとめ

無濾過原酒は、濾過を行わないことで酒本来の濃厚な味わいと豊かな香りが楽しめる日本酒です。アルコール度数が高く、フルーティーな香りや深いコクが特徴で、冷やして飲むとさっぱりとした味わい、温めるとまろやかな旨味が引き立ちます。食事との相性も良く、特に濃い味の料理と楽しむとその魅力がさらに際立ちます。無濾過原酒の豊かな風味を、さまざまな飲み方やシーンで堪能してみてください。

投稿者プロフィール

東叡庵
東叡庵煎茶講師/日本文化PRマーケター
宮城県出身。
仙台の大学卒業後、500年の歴史を誇る老舗和菓子屋に入社。京都にて文人趣味や煎茶道、生け花、民俗画を学び、日本文化への造詣を深める。和菓子屋での経験を活かし、その後、日本文化専門のマーケティング会社でブランディングとPRマーケティングに従事。現在はフリーランスの茶人として活動しながら、日本文化のPRサポートや「みんなの日本茶サロン」を主宰。伝統と現代を結びつける活動を通じて、日本文化の魅力を広めている。みんなの日本茶サロン編集長。