八仙とは?飲中八仙との違いや酔仙との関連も紹介

**八仙(はっせん)**は、中国の道教に伝わる8人の不老不死の仙人たちの総称です。彼らは道教の修行によって仙人となり、さまざまな霊的能力を持ち、民間信仰や物語の中で広く知られています。八仙の特徴は、一般の人々から仙人へと昇華した点で、特定の階級や生まれに限らない英雄的存在として、庶民に人気があります。

八仙は、次の8人の仙人たちで構成されています。それぞれが独自の能力や道具を持ち、仙人らしいエピソードや特技を持っています。

八仙のメンバー

  1. 鍾離権(しょうりけん)
    • 鍾離権は、八仙のリーダー格。彼は太古の将軍として知られ、扇子を持ち、それを使って死者を蘇らせる力を持っています。
  2. 鉄拐李(てっかいり)
    • 片足を引きずった老人の姿をしている仙人。病を治すための薬壺を持ち、困った人々を助けるために霊薬を提供する力を持っています。
  3. 藍采和(らんさいわ)
    • 酒を好む若者の姿をしており、道化的な性格の持ち主。彼は持ち前の音楽の才能を活かして人々を楽しませ、酒杯で人々に幸福を分け与えます。
  4. 何仙姑(かせんこ)
    • 八仙の唯一の女性仙人で、薬草を使った治療術を得意としています。彼女は蓮の花を持ち、病人や怪我をした人々を癒やす力があります。
  5. 張果老(ちょうかろう)
    • 老人の姿をしており、背中に逆向きに乗る驢馬を連れて歩いている。彼の驢馬は、折りたたんで紙のようにすることができ、必要な時に水で戻して乗ることができるという伝説があります。
  6. 呂洞賓(りょどうひん)
    • 剣術の達人で、妖魔を退治するための剣を持っています。道教においては修行の象徴的存在であり、特に武術や戦術に関心のある人々に人気があります。
  7. 韓湘子(かんしょうし)
    • 美しい若者の姿をしており、笛の名手です。彼の笛の音色は、精神的な癒しや心の安らぎをもたらす力があるとされています。
  8. 曹国舅(そうこくきゅう)
    • 皇族出身の仙人で、玉板(ぎょくばん)を持ち、威厳ある姿で描かれることが多い。貴族の立場を捨てて、道を極めた人物です。

八仙の象徴

八仙は、一般の庶民から仙人へと昇格した存在として、成功や幸福を象徴しています。それぞれの仙人が持つ特徴的な道具は、道教における象徴的な意味を持ち、人々の生活に関わる幸福、健康、財産、長寿などを象徴するため、特に旧正月などの祝祭で八仙は人気のモチーフとなっています。

飲中八仙とは?

**飲中八仙(いんちゅうはっせん)**は、唐代の詩人たちによって称えられた、酒を愛する8人の人物たちのことを指します。道教の八仙とは異なり、彼らは仙人ではなく、現実の人間で、飲酒と詩作を楽しんだ才人たちです。飲中八仙は詩人・**杜甫(とほ)**が彼らを称える詩の中で紹介し、以降「酒仙」や「飲中八仙」として知られるようになりました。

飲中八仙のメンバー

  1. 李白(りはく)
    • 中国の最も有名な詩人で、酒と詩の天才。彼の詩は自由奔放で、飲酒による霊感を得たとされます。
  2. 賀知章(がちしょう)
    • 酒を好むことで知られる詩人で、彼の詩は感情豊かで、酒席でしばしば歌われた。
  3. 李適之(りてきし)
    • 政治家でありながら詩人としても名を馳せ、酒と共に詩を楽しんだ。
  4. 崔宗之(さいそうし)
    • 崔宗之は文人としての才覚を持ち、酒と詩作を楽しんだ一人。
  5. 蘇晋(そしん)
    • 有名な書家で、彼の書は酒席でも即興で作られることが多かった。
  6. 張旭(ちょうきょく)
    • 張旭は特に「草書」という書道のスタイルで知られ、酒を飲んでの書作が名高い。
  7. 焦遂(しょうすい)
    • 彼もまた詩人であり、豪放な飲酒家として有名。
  8. 汝陽王(じょようおう)
    • 李林甫の兄で、詩文を嗜み、飲酒家として有名でした。

飲中八仙と道教八仙の違い

  • 飲中八仙は、詩や文学において酒を楽しみ、その詩作の中に酒を取り入れた人物たちです。彼らは神話上の仙人ではなく、実際の歴史上の人物であり、酒と詩作の才能によって称賛されました。
  • 一方、道教の八仙は、伝説や民間信仰に基づく不老不死の仙人たちで、神話や道教の教えに深く関わり、霊的な力を持っています。彼らは道教的修行の成果としての「仙人」として崇められています。

つまり、道教の八仙は神話的・霊的な存在であるのに対し、飲中八仙は酒を愛する現実の詩人たちを指す、異なるジャンルの八仙なのです。

まとめ

  • 八仙は道教における不老不死の仙人たちで、霊的な力を持ち、それぞれの象徴的な役割があります。
  • 飲中八仙は唐代の詩人たちで、酒を愛し、その詩作において自由で豊かな表現を生み出したことで称えられました。

どちらも中国文化において特別な意味を持ち、人々に愛され続けています。

投稿者プロフィール

東叡庵
東叡庵煎茶道講師/日本文化PRマーケター
宮城県出身。
仙台の大学卒業後、500年の歴史を誇る老舗和菓子屋に入社。京都にて文人趣味や煎茶道、生け花、民俗画を学び、日本文化への造詣を深める。和菓子屋での経験を活かし、その後、日本文化専門のマーケティング会社でブランディングとPRマーケティングに従事。現在はフリーランスの茶人として活動しながら、日本文化のPRサポートや「みんなの日本茶サロン」を主宰。伝統と現代を結びつける活動を通じて、日本文化の魅力を広めている。みんなの日本茶サロン編集長。