初心者でも楽しめる華道・生け花の生け方とは?

華道生け花は、四季折々の花を用いて美を表現する日本の伝統文化です。その美しさや奥深さから、多くの人々に愛され続けています。しかし、初心者にとっては、どこから始めて良いのか分からないこともあるでしょう。本記事では、初心者でも楽しめる華道生け花の基本的な生け方を解説し、気軽に始められる方法をご紹介します。

華道についてさらに詳細に知りたい方は下記の記事をご覧ください。


1. 華道生け花とは?

華道とは、花を使って美を表現する日本の伝統的な芸術の一つです。生け花とも呼ばれ、ただ花を飾るだけでなく、自然と調和した美しさを追求するものです。華道は、花の配置や空間の使い方、季節感などを大切にし、花と人との関わりを深める手段として発展してきました。

1.1 華道の歴史

華道は、6世紀に仏教と共に中国から伝わった供花(くげ)に由来しています。これが次第に形式化され、室町時代には池坊(いけのぼう)が誕生し、現在の華道の基盤が築かれました。その後、江戸時代に入ると生け花として庶民の間でも広まり、さまざまな流派が生まれました。

1.2 華道生け花の違い

一般的に、華道は形式的で伝統的なスタイルを指し、生け花はより自由な表現を重視したスタイルを指します。しかし、現代では両者はしばしば同じ意味で使われることが多く、どちらも花を使った芸術として理解されています。


2. 初心者向けの生け花の基本

初心者でも楽しめるように、まずは生け花の基本的な生け方を学びましょう。生け花には、さまざまな流派があり、それぞれに特徴的なスタイルや技法がありますが、ここではどの流派にも共通する基本を紹介します。

2.1 花材の選び方

生け花に使う花材(花や葉、枝など)を選ぶ際には、季節感を大切にしましょう。春には桜や梅、夏には向日葵や菖蒲、秋には紅葉や菊、冬には松や梅など、季節に応じた花材を選ぶことで、自然との調和を楽しむことができます。

  • 色合いも考慮しましょう。単一の色ではなく、色のコントラスト調和を意識して選ぶと、より美しい作品に仕上がります。
  • 茎の太さ長さにも注意して、全体のバランスを考えて選ぶことが重要です。

2.2 花器の選び方

生け花では、花器(花を生ける容器)も重要な要素です。初心者には、扱いやすいシンプルな花器がおすすめです。陶器やガラス製の花器など、さまざまな素材がありますが、花材との相性を考えて選ぶと良いでしょう。

  • 花器の形が、花材と調和するかどうかを意識しましょう。
  • 季節感テーマに合わせた花器を選ぶことで、より一体感のある作品が作れます。

3. 生け花の基本的な生け方

生け花の基本的な生け方には、真(しん)副(そえ)、**控(ひかえ)**という三つの役割を持つ要素があります。この三要素を使いこなすことで、「立花」「生花」「自由化」といった安定感のある美しい作品を作ることができます。

3.1 真(しん)—作品の中心となる部分

は、作品の中心となる部分です。最も長い花材を使い、縦に真っ直ぐ生けることが基本です。は、作品全体のバランスを決める重要な役割を持ちます。

  • は力強さや生命力を象徴し、作品の方向性を決定します。

3.2 副(そえ)—補完する部分

は、を補完する役割を持ち、次に長い花材を使います。に対して斜めに生け、作品に動きを与える要素です。

  • は柔らかさや優しさを表現し、との調和を図ります。

3.3 控(ひかえ)—安定感を与える部分

は、最も短い花材を使い、作品に安定感を与える役割を持ちます。は低い位置に生けられ、全体を引き締める効果があります。

  • は落ち着きや安定感を象徴し、作品を引き立てる役割を担います。

4. 初心者におすすめの生け花のスタイル

初心者が楽しめる生け花のスタイルとして、以下のようなものがあります。これらのスタイルは、シンプルでありながらも美しく、誰でも気軽に挑戦できるものです。

4.1 一輪挿し

一輪挿しは、シンプルでありながらも奥深い表現が可能なスタイルです。花一輪を花器に生けるだけで、空間に美しさを添えることができます。

  • 一輪挿しでは、花そのものの美しさが引き立ちます。特に、季節感のある花を選ぶと、より印象的です。

4.2 盛花(もりばな)

盛花は、花を器に盛るように生けるスタイルで、比較的自由な発想で楽しめます。初心者でも扱いやすく、様々な花材を使って華やかな作品を作ることができます。

  • 盛花では、花材の配置や色合いを楽しむことができるため、初心者でも楽しく取り組めます。

4.3 自由花

自由花は、その名の通り、自由な発想で生けることができるスタイルです。ルールに縛られず、自分の感性を大切にしたい方におすすめです。

  • 自由花では、花材や花器を自由に選び、自分だけのオリジナル作品を作り上げることができます。

5. 初心者が気をつけるべきポイント

生け花を始める際には、いくつか気をつけるべきポイントがあります。これらを押さえておくことで、より美しい作品を作ることができます。

5.1 花材の扱い方

花材は生き物です。花材を大切に扱い、丁寧に手入れをすることが重要です。切り口を斜めにカットしたり、水に浸けておくことで、花材が長持ちします。

  • 花材の水揚げをしっかり行い、鮮度を保つようにしましょう。

5.2 バランスと調和

生け花では、バランスと調和が重要です。花材の配置や高さ、色合いを考慮しながら、生けることで、美しい作品が生まれます。

  • のバランスを意識しながら、生けることがポイントです。

6. まとめ

華道生け花は、自然と調和しながら美を表現する日本の伝統的な芸術です。初心者でも、基本を押さえて取り組むことで、その奥深さを楽しむことができます。まずは一輪挿し盛花から始め、少しずつ自分の感性を磨いていきましょう。生け花の世界は、初心者にも開かれており、自分のペースで楽しむことができる素晴らしい趣味です。

投稿者プロフィール

東叡庵
東叡庵煎茶講師/日本文化PRマーケター
宮城県出身。
仙台の大学卒業後、500年の歴史を誇る老舗和菓子屋に入社。京都にて文人趣味や煎茶道、生け花、民俗画を学び、日本文化への造詣を深める。和菓子屋での経験を活かし、その後、日本文化専門のマーケティング会社でブランディングとPRマーケティングに従事。現在はフリーランスの茶人として活動しながら、日本文化のPRサポートや「みんなの日本茶サロン」を主宰。伝統と現代を結びつける活動を通じて、日本文化の魅力を広めている。みんなの日本茶サロン編集長。